こんばんにゃ
未曾有の悲劇に見舞われた街で、自分も当事者でありながら、時に寄り添うように、時に鼓舞するように、その街の人たちに向けて何かを発信するっていう行為は、聴いたことのない「女川さいがいFM」を思い出した。
なにもないところから、エイヤ!と始めた放送が、街の人に栄養を与えてる感じ、よかった。
画面はグレーばっかりだったけど、少しずつ色が、カラフルには程遠くても、色が増えてく感じがキュンとする。
前半は、ドキュメンタリーっていうよりもリポートって感じ。生々しさや現在進行形感がすごくて、時間的割合は高くないはずだけど、見てる間も、終わってからも、ずっしりと居座り続ける。
「怒り」「悲しみ」より「やるせなさ」を強く感じた。
解放されたコバニの街に戻ってきた人たちの様子が、泣いたり抱き合ったりして帰還を喜ぶわけじゃなく、テンション低め、本当に大丈夫なのかまだ不安そうで、そんな様子が彼らが置かれてる立場や経験してきたことを、すごく物語ってるように感じた。
映画は希望を感じる終わり方だったけど、自分には不安もすごく大きく残った。
見終わって、渋谷駅に向かって歩いてたらちょいとウルウルしそう。
気合入ってる若者、交差点で写真撮りまくる観光客、少しガラの悪そうな人や、手ぶらの外国人、なんやかんや、みんな好きでここに集まってきてる感じ。みんな気張ってる感じ。
ギャップにやられたっていうか、今の自分と街の密度が合わなくて、水と油の境目で光が曲がるみたいに、うすい膜が張ってる感じのまま電車にたどり着いたよ。
楽しい映画じゃないけど、見てよかった。