みう と 青

みうと青の共同ブログ。
知ってる人には言えないけど、知らない誰かの通り過ぎる場所で呟きたい独り言があるのです。

足跡姫 〜時代錯誤冬幽霊〜

2017年02月19日 01時41分28秒 | みう・しばい
こんばんにゃ

木曜日に、野田MAPの
足跡姫 〜時代錯誤冬幽霊〜
(ときあやまってふゆのゆうれい)
見てきた!!!





昨年の「逆鱗」は雷に打たれるような、身悶えするような「ウォォォォッ!」ってなる激情が走ったけど、今回は最後の最後に「じわわわぁぁぁ〜ん」ときた。

4年前に亡くなられた18代目中村勘三郎へのオマージュです。
って事で、やはりというべきか、東京芸術劇場に花道、回舞台、すっぽん、下座がある。
音響も、生音の拍子木や鼓などなど多用。
色合いは淡いけど、定式幕っぽいものも使われてる。
そういう、いかにも歌舞伎なものが、とってもキレイに野田MAPの舞台と調和してたと思う。



物語は江戸時代(から、まさかのノージャンプ!信じられない!)、幕府の目をかいくぐり、禁止されてる女歌舞伎を上演する一座に、蘇る死体?売れない幽霊小説家と、由井正雪を慕う戯けた浪人と、死体の腑分けを目論む医者が加わり、いつかはお城で演じたいと願う看板踊り子の三、四代目出雲阿国の弟サルワカは、踊りに筋をつけて芝居にしようにも、若き日の野田氏のごとく難解な本しか書けず、幽霊小説家がゴーストライターとして作品を乗っ取り、大衆受けする芝居に書き換え、ついにお城の舞台にたどり着く頃には、足跡姫に半分自分を乗っ取られかけてる三、四代目出雲阿国。
徳川家ナントカの前で踊るためにきた出雲阿国と、その体に宿った家ナントカの命を狙う足跡姫。どーなるどーなる!?
みたいな話。たぶん。

4年前に亡くなられた18代目中村勘三郎へのオマージュです。
と銘打っているけど、勘三郎の「か」の字も出ないまま物語は進みます。
が、最後の最後にはちゃんとたどり着く。それが、力技みたいなセリフだけど、そのセリフに到達させる伏線もちゃんとある。
力技なんだけど、御都合主義にならない脚本の妙と、始終跳ね回る野田の舞台で、身じろぎもしないで、そこに「いる」「しゃべる」だけで、そのセリフを昇華させてる妻夫木聡がすごい。

出雲阿国を演じてる宮沢りえさんも、良い舞台役者になってきたなぁ。と、どこ視点かわからない視点でシミジミにやにやしとるんじゃ。
が、もっとすごいりえさんを見ているので、千秋楽までに、まだまだ出雲阿国と足跡姫は極まれる気がする。
こんなもんじゃないはず!

鈴木杏ちゃんが、期待してたけど、思った以上によかった!
無邪気だけど透明感はない。バカだけど計算高い。あけすけなのにエロイ。パワフルだけど力んでない。役としても、役者としても、色んな要素が絶妙に乗ってて、複雑なのに真っ直ぐによく届く。
今後がますます楽しみ。

池谷のぶえさんも、野田で見るの久々だったけど、立つとこ立って、馴染むとこ馴染んで、この座組の中で適度な存在感。また出てほしいな〜。

佐藤隆太さんは、もうちっと濃い役で見てみたいかな。
最近テレビでも演じる役の幅が広がってきたので、この2〜3年の過ごし方で、今後が大きく変わりそう。

中村さんは、自分の見た回では、ちょっと調子がイマヒトツだったかなぁ(^_^;)

アンサンブルの人たちも良かったと思う。もう少し前の方の席なら、もっと群衆の中の個性がよく見えたかなぁ〜と思うとじれったい。

古田新さんはまるでコンマスだった。舞台上にいながらにしてみんなを引っ張ってる感じ。オラオラ前に出てくるわけじゃなく、力が抜けてて、遊んでるのにダラけないで、器が大きくて、こういう人が舞台上にいてくれると、周りも安心して全力出せそう。
指揮者の野田さん、ソリスト的なりえさん&妻夫木くんとはまた違った形で、この座組みを引っ張ったりまとめたりしてるんだと思う。
顔ブッサイクだけど、存在がカッコいい!

4年前に亡くなられた18代目中村勘三郎へのオマージュです。
と銘打っているけど、テーマは歌舞伎だけじゃなかったと思う。
もっと広く、「いのち」とか、「舞台芸術」とか、限りある、今だけの、とじこめられない、その瞬間だけの、絶対消えちゃう、のこせないもの。
そういうことだったと思う。
(流行りに乗ってレガシーとか言ってる人たちとは、向き合い方が違うと感るわ。)

あの日に見た、あの桜吹雪が素晴らしくって、写真や動画には写らない、花びらが舞う時の空気の振動とか、木の幹のザラザラした手触りとかも大事で、来年も咲くけど同じじゃなくて、いつかはこの木も死ぬけれど、同じじゃ無くても何か遺したくて、繋ぎたくて、枝を手折って挿し木をして育てる。どうかキレイに咲いてほしい。
みたいな。

そういう意味では、幕に描かれていたり、足跡姫の足跡で描かれたり、最後に壁一面に現れたり、メタファーとして「桜」の使い方が素晴らしかった。



裏テーマ的には、野田くんらしく「虐げられる者」ってのがあったと思う。
大衆・強者の都合で奪われ潰されていく少数・弱者に光を当てずにはいられない性なんだろうな。
ただ、1〜2代目出雲阿国の病が癩病とまでは言わないにしても、タタラ場のシーンに近現代の戦争の映像を重ねるのは、個人的にはやりすぎかなと。
そこまでやらなくても伝わるって信頼を、我々観客が得られてないのが少し悲しくもあり、現実的な判断って気もする。


そして、少しだけ個人的な話を。
自分は数年前までアマチュアで芝居をやってました。
生来の怠け精神と、様々な限界と、新たなライフワークになるかも?と思えるものに出会い、今は身を引いています。
新たなライフワークとして旅を始めました。
と言っても、何もかも捨てて世界一周とかでは無く、普通に仕事して、図々しく連休とって、行けるところに行ってるだけですが。
1人の旅先では、ホントに元気になれるし、我ながら生き生きしてると思う。
だけど、少しだけ、ほんの少〜しだけ、物足りない気がする時もある。
芝居、やりたいな。
もしかしたら、いつの間にか、私にとって地球上で一番遠い場所は、ブラジルじゃ無くて、南極でもなくて、板の上になってしまったみたいです。
(実際問題、その気にさえなればブラジルと南極は行けちゃうし)


カーテンコールの最後の最後、野田さんが1人で舞台に出てきた時、いつもと違って、正座してお辞儀をされてたのがとっても印象的だった。
芝居とはまた違った形でこころを動かされた。

とにかく幸せな2時間半だったんだにゃあ

2016年をふりかえる

2017年02月10日 15時17分40秒 | みう・1年をふりかえる

こんばんにゃ

毎年恒例なので、遅ればせながら
2016年を振り返っておきたいと思います。

1月
・初の初日の出キャンプ



2月
・野田地図「逆鱗」鑑賞
最近の野田の中でも個人的に大ヒット!


・森美で五百羅漢図などを鑑賞


・寿司アカデミーで食い倒れ


・蔵王でスノボ


3月
・友達の結婚を祝って牡蠣を喰らう
・金八ごっこからのシュラスコ
・寒中鍋大会

4月
・フィリピンから友達来日
東京&鎌倉を全力でご案内!



・いざ、モロッコへ

5月
・モロッコ旅、最高!
  

      





6月
・紫陽花狩り
・香川の島巡り
大好きだけど全然会えない友との邂逅!
アートとトークでフル充電!
  

・森美からアフガニスタン展のハシゴ
・梅雨時バーベキュー
・東大ツアー

7月
・入笠山登山
  

・赤城山登山
  

・浅草散策からのあだちの花火大会
・キャンプ会

8月
・第4回 北北東に進路をとれキャンツー
  

    

  


9月
・餃子会
・埼玉地下神殿見学からの塩ホルモン
  

・箱根ツー

10月
・蒲郡への船旅
  

・伊豆でダイビング
一年ぶりはドキドキだった。


・あの大鴉さえも 鑑賞
・富士山ツー
・女川フェスのお手伝い

11月
・東京ディズニーランド
パキスタン人と仲良くなるというまさかの展開


・タイ旅行
プーケットでダイビング&チェンマイでランタンフェスティバル
  

  



・滋賀&京都 紅葉狩り
  

12月
・健康診断
・清水へ船旅
  

・クリスマスに東京ジャーミィ
  


本33冊
映画45本

2017年がより良い一年になれ!
にゃあ!

 

2015年はコチラ
2014年はコチラ
2013年はコチラ
2012年はコチラ
2011年はコチラ
2010年はコチラ
2009年は書き忘れorz
2008年はコチラ
2007年はコチラ
2006年はコチラ

沈黙 〜サイレンス〜

2017年02月06日 17時46分18秒 | みう・映画とか本とか音楽とか
こんばんにゃ。
沈黙 〜サイレンス〜
見てきた。

小説を読んだのが、約20年前だったので、理解力が全然足りてなかったらしく、当時はとにかく「キリシタンを弾圧する日本のお上は酷い!」ってことばっか感じてた。
けど、今回の映画を見て、色々な事への印象が変わった。

やり口は本当に最悪だけど、日本の言い分もそれなりには理解はできる。
「キリスト教そのものが悪だとは思わないんだけど、国をまとめていく上ではちょっと邪魔なのよね〜。
だって、キリスト教の布教を足がかりにして、ヨーロッパの国々が日本の覇権争いとか始めちゃうんでしょ?
そういうのは困るんだわ。
本気で信仰を捨てろとか言わないから、形だけでもいいから棄教、お願いできないかな?」
全部が本心とも限らないけど、そっちの立場じゃそういう考えにもなるかもね。と、ある程度の理解は示せる感じ。

それに対して、パードレがすごく図々しく見えることがある。
「キリスト教は真理だ!真理はいついかなる時も絶対正しい!」
って、おいおい(^_^;)

キリスト教は布教に熱心な宗教ってイメージがある。
「積極的に布教すべし」って教えが(後付けかもだけど)あるようなので、まあ仕方ないのかも?
でも、
「素敵な教えをありがとう」
となるか
「押し売りやめてー!」
となるかは紙一重。
で、やめて派の人達を勝手に憐れんだりしてくるし。
これって、ちょっとウザい。


パードレはさておき、密かに静かに信仰を続けている村のキリシタン達の美しさは妙に染みた。
清潔感皆無で、文化的な雰囲気からは程遠いんだけど、それだけに朴訥で、純で、一途で、静かで、悲しいような美しさがある。
綺麗な着物を着て、巧みに英語を操るお上より、ずっと上品に見えた。

映画を見ていて
「信仰は勝ち負けじゃないし、見せつけるものでもない」
と強く思ったし
「信仰は心の問題」
「人の心に干渉してはならない」
というセリフはしみじみ染みた。

映画の前半は「ひっどいことするなぁ」という感じで、この時代のこの場所でキリスト教を信仰・布教することが、いかに危険で恐ろしいことかを、ビジュアルで見せつけてくる。
が、後半は割とロジカルな展開。
(拷問は相変わらずネチネチと最悪だけど)
ゆえに左脳活動活発で、エモーショナルな展開ではない。はず?

なのに、音楽は一切なく、虫の声、波の音、風の音だけっていうエンドロール見てたら、てか聞いてたら、ぶわーーって目から目水、鼻から鼻水が溢れてきた。
その時ですら左脳活動活発で、頭は色々考えてる。
なのに、体は勝手に反応してる感じ。
なかなかの映画体験。


それにしてもキチジローのキリスト感がハンパない。
窪塚くんって聞いた時から予想してたけど、ほんとビジュアルからハマってる。

開始早々の「あいつはいつもいない」っていう言われようにも「神かよ」と突っ込みたくなる始末。


こういう映画は見る人の背負ってる物によって感想はけっこう変わるのかな?
個人的には何気に普遍的なテーマな気もしたけど。
色んな環境の人たちの感想、聞いてみたいんだにゃあ。