妻は料理が美味く、歌が上手く、おしゃべり好きでしたので、その家は自然と友人・知人が集まってくるような居心地のよい家庭でした。
夫はそんな妻が大好きで、ちょっと年上の妻は、そんな夫をからかいつつ、本当に誰が見ても羨ましい、理想的な夫婦でした。
夫は妻の為に、家庭菜園や花壇もある、こじんまりした、しかし使いやすそうな家を新築し、妻はそこで暮らす日々を 『今が一番幸せ』 と言っていたそうです。
ところが、妻が突然の病に倒れ、2ヶ月に及ぶ夫の献身的な看護もむなしく、先日亡くなってしまいました。
夫の憔悴ぶりは、見ている周りのものが辛くなるほどでした。
通夜・葬儀・告別式。
お子様がいらっしゃらなかったご夫婦でしたので、私を含め数名が、そのお手伝いに行ってまいりました。
夫婦の近しい友人の弔辞、そして意気消沈した夫がしぼりだすように語る挨拶は、列席者を号泣させるに余りあるものでした。
病床で、妻は夫にあてた日記を綴っていたそうです。
今後の夫が、その妻の愛に後押しされて一日も早く立ち直れるよう、その日を静かに待っていようと思います。