自宅から離れた施設に入所している83歳の母ではあるが、住民票は未だに私と同じ場所にある。
そのため、敬老の日の案内はすべて私が受け取ることになるわけだが、今年もまたその時期がやってきた。
10年以上も前、まだ両親が敬老の日の対象となったばかりの頃は、市の財政も豊かだったのか、それとも老人の数が少なかったのか、全員に 「記念品」 、喜寿や米寿の年には、 「お祝金」 まであったと記憶しているのだが、ここ数年は 「消えもの」 のみである。
そうはいっても3年前からペースト食、2年前からは流動食になっている母のもとに、この 「消えもの」 を届けることもできず、しかたがないので (^^)v 頂くお弁当はすべて私がありがたく頂戴している \(^^)/ ←その顔文字、間違ってないか?
その母は去年の暮れ以来、鼻からの経管栄養を続けていたわけだが、半年が経過し、このまま鼻からのチューブで流動食を続けるより、身体に負担の少ない 『胃ろう』 を作った方がいいのではないかと、施設・病院側と話を進めていた。
ところがその矢先、母が高熱を発し再度入院。
「またか!」 とヒヤッとしたわけだが、今回は 『蜂窩織炎(ほうかしきえん) 』 という感染症で抗生物質の投与を受けた結果、あっという間に治ってくれた。
用語解説(?!)
○ 胃ろう :お腹から胃にあけた穴にチューブを取り付け、そこから水分や栄養補給するもの
○ 蜂窩織炎:皮膚の深いところから皮下脂肪組織にかけての細菌による化膿性炎症
そんなわけで、せっかく入院したことだし (爆)、この際だからついでに胃ろうの手術もどさくさに紛れて決行してしまおうということで、9月1日に手術を行った。
もちろん経過は順調で、それ以後母の鼻から生えていた (?) 管が消え、顔もすっきりした。
しかも鼻から胃まで通っていたチューブが抜けたせいか、母の言葉がわずかながらも増えたような気もする。
胃に穴はあけたものの、状態が改善すれば口からの食事ももちろん可能ではある。
ただし嚥下機能が衰えているため誤嚥の心配が終始付きまとうということもあり、今後も口からの完全なる栄養補給は難しいと思う反面 「以前のように、頂いたお弁当を一緒に食べられる日がくればいいな」 と思ったりもしている。
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そんな状況の中、なぜこの映画を見ようとしたのかはちょっと複雑すぎて説明不能なのだが、映画 『おくりびと』 を見てきた。
モントリオール映画祭のグランプリ受賞作だそうである。
主演・本木雅弘。 監督は 『壬生義士伝』 の滝田洋二郎、音楽は 『崖の上のポニョ』 の久石譲である。
『おくりびと』 は、遺体を棺に納める 「納棺師」という職業をテーマにした映画であり、本木雅弘が演じるのは、チェロ奏者をリストラされた後、故郷の山形でちょっとした間違いから 「納棺師」 に転職してしまった (笑)青年の役。
重いテーマを美しい映像とやさしい音楽が包みこみ、館内に笑い声すら起きる不思議な映画であった。
命のバトンが目に見える形で表現され、これは死をテーマにしているにもかかわらず、生きるための映画だと・・・・
・・・・強く感じた。
見る前は気分的にちょっと微妙なものもあったのだが、今は【見てよかった】 と断言できる。
人間って、やっぱり優しい生き物なんだよなぁ。