なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

後腹膜出血

2015年07月12日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ていた(最近は今日もになっている)。51歳男性が右下腹部痛で受診した。昨夜午後11時ごろに右下腹部痛があったが、寝ているうちに軽快した。朝はほとんど収まっていたので仕事に出かけたそうだ。今日の昼からまた右下腹部痛が出現して、昨日よりも悪化した様子をみていても軽快しなかった。腰を曲げて診察室に入ってきた。歩くと響くという。

 これは腹膜炎だと思って診察を開始した。右下腹部に圧痛とデファンスがあり、これは腹膜炎で間違いないと思った。心窩部から始まったかどうか聞くと、最初から右下腹部痛だという。点滴を開始して、血液検査を提出した。外科の先生(大学病院からの応援医師)に腹膜炎の患者さんが受診していることを伝えた。白血球数9300、CRP0.2と意外に大したことはなかった。腎機能が正常であることを確認して、腹部造影CTを行った。最初、右腹腔内から後腹膜に膿瘍が貯留しているのかと思われた。虫垂炎の破裂と思っていたので、後腹膜に広がることもあるのかと疑問に思った。外科の先生に診てもらって、これは腹膜炎の所見で手術ですねという返事だった。

 今日の外科当番の先生が呼ばれた。最初は腹膜炎かと言っていたが、CTをよく見て「後腹膜出血!」と判断された。単純CTにはない陰影が動脈相ではっきり白く写っている。静脈相になるとその周囲も造影されてくる。確かに出血だった。腹膜炎だ、外科だと短絡的に考えてしまった。

 血管造影と、引き続きインターベンションの治療が必要になると判断され、手術も含めて幅広く対応できる大学病院に治療依頼することになった。幸いに大学救命救急センターが受け入れてくれて、救急搬送となった。外傷の既往もなく、外科医は末梢動脈の動脈瘤があったのではないかと言っていた。絞扼性イレウスといい、今週末診断に関しては大分はずしている。

 

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