なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

硬膜下血腫(水腫)

2024年04月20日 | 脳神経疾患

 整形外科に入院が増えているが、なにしろ高齢者(~超高齢者)なので、内科疾患などが問題なる。整形外科入院患者の内科疾患は内科が分担して対応することになった。

 

 4月17日腎臓内科の若い先生から、整形外科の入院患者さんが慢性硬膜下血腫を呈していると相談された。その先生が内科管理で診ている整形外科入院の患者さんだった。

 4月4日に転倒して、胸椎圧迫骨折を来して整形外科に入院していた。2月には腰椎圧迫骨折で同じく整形外科に入院している。頭部も打撲したので、頭部CTも施行されたが、その時は異常がなかった。

 

 食事摂取も良く、頭痛や神経症状はなかったが、17日に頭部CTを再検していた。すると、入院時にはなかった左硬膜下血腫(水腫)を認めた。

 整形外科で電子カルテで画像を見て、そのままにしていたらしい。それを目ざとく見つけた腎臓内科の先生が、保存的治療を開始しようとしていた。

 「五苓散でいいですよね」といわれた。脳外科に紹介しても、おそらく保存的に経過をみると思われる。地域の基幹病院脳外科ではアクアポリンに効く五苓散を使用している。(もっと効かせたいのでと、柴苓湯を使用していたこともある)

 「投与期間は?」、とも訊かれたが、それは経過を見て決めるしかないと思う。後でカルテを見ると、まず1か月使用してみる、とあった。

 病院内のさまざまなことに目配りしている先生だった。

 

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全身浮腫

2024年04月19日 | 腎疾患

 4月17日(水)の午後に救急室で発熱外来をみていた。すると、救急担当の看護師さんたちが、今から腎臓内科の先生が緊急透析になる患者さんのカテーテルを入れる、と慌てていた。

 患者さんは48歳女性で糖尿病で市内の内科医院に通院していた。4月3日に風邪症状があり、医院から処方を受けていた。その10日後から身体のむくみが出現して、同院で利尿薬の処方を受けたが効かなかった。

 その日は息苦しさもあり、当院を受診した。全身の浮腫があった。胸腹部CTで肺うっ血・胸水・腹水貯留を認めた。皮下の浮腫も目立つ。血清クレアチニンが9.19mg/dLと著明に上昇していた。

 外来で診た内科の先生が、腎臓内科の若い先生に診療を依頼して、緊急透析となった。

 

 10年前に流産で産婦人科に入院した際に、糖尿病を指摘された。HbA1c10.6%で、内科に糖尿病治療が依頼されて当方が担当した。当時はHbA1cの表記が、JDSとNGSPの両者でされていて、過渡期だったようだ。(懐かしい)

 DPP4阻害薬から開始して、メトホルミンの追加、SU薬の少量追加(グリクラジド20mg)で、いったんHbAc1は6.7%まで改善した。そこから、HbA1cが7.2→7.8→8.1%と上昇していた。(当時はSGLT2阻害薬・GLP1受容体作動薬はなく、この3種が標準治療)

 インスリンの話などをしたのかもしれないが、当院の電子カルテは2016年からなのでわからない。(検査のオーダリングだけできた)1年ちょっと通院して中断していた。(市内の開業医の先生に紹介はしていない)

 こちらの診療が気に入らなかったのか、現在通院している内科医院は定評のある先生なので(最近代替わりした)、そちらがいいと思って通院先を替えたのかもしれない。

 2019年にたまたま尿管結石で当院を受診した時は血清クレアチニン0.73mg/dLで、2023年10月医院での血清クレアチニンは0.97mg/dLで尿蛋白(3+)だった。糖尿病性腎症はしだいに進行していたが、今回は急激に悪化している。

 腎臓内科の先生はacute on chronicと表現していた。急激な悪化の引き金は何だろう。回復の可能性はあるのだろうか。

 

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脾梗塞?

2024年04月18日 | 消化器疾患

 放射線科で外来患者さんのCTを診ていると、別の内科の先生が入って来た。「脾梗塞」だったようです、と放射線科の技師さんに伝えていた。

 後で技師さんに訊くと、4月初めにCTを行って、脾臓近傍の嚢胞性腫瘤?のことだった。もっとも何の話?と訊くと、いつだったかなあと、CTのオーダー画面を探していた。先生が気にしているほど、技師さんは関心がなかったか。

 

 患者さんは37歳男性で、その先生が当直だった日の夜間に救急外来を受診していた。寿司を食べた後に、嘔気・嘔吐と腹痛(上腹部痛)が生じたということだった。

 入院になり、炎症反応はごく軽度だったが、症状が続いて入院となった。入院後に発熱もあった。

 腹部単純CTで脾臓近傍に嚢胞性腫瘤を認めた。それ以外は有意な異常はない。どの組織由来か、造影CTとMRIも行ったが放射線科の読影では不明となっていた。

 いつの間にか、腹痛は左季肋部痛ということになっていた。症状軽快して、4月4日に退院した。精査というか相談目的で、地域の基幹病院消化器内科の外来に紹介された。

 返事は、「画像診断医とも相談して、脾臓の一部と判断され、脾梗塞と判断した」、というものだった。確かに脾臓の一部のように見える。症状は残るが、鎮痛薬(ロキソプロフェン)で外来経過観察となっていた。

 心電図は正常洞調律で心房細動はない。最初の症状はいかにも食事性のようだが、寿司は無実で、脾梗塞の症状だったということか。

 

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喀血

2024年04月17日 | 呼吸器疾患

 4月15日(月)に内科外来を診ていると、消化器科医が相談があるそうですと看護師さんにいわれた。

 消化器科の診察室に行くと、消化器科医が患者さんの胸部CTを見ていた。その日吐血として消化器科の外来に回されたが、話を訊くと、腹部症状はなく、咳き込んでの症状で喀血だった。

 13日(土)に咳をした時にわずかな出血があり、その日かかりつけの内科クリニックを受診したが、胸部X線で異常を認めなかったそうだ。翌14日に2回、15日の朝にも咳をして血液を喀出していた(純粋な血液だけ)。

 胸部CTで右肺の中葉と下葉に気管支拡張症があり、その周囲に淡い陰影が広がっていた。バイタルは問題なく、酸素飽和度も正常だった。炎症反応も陰性で、緊急性はないと判断していたようだ。

 

 2004年に当院呼吸器科(当時はあった)に肺野異常影で検査入院したことがあった。その時の陰影は右下肺野背側の今回より小さな陰影(粒状影散在)だった。気管支鏡検査でも有意な異常(腫瘍、抗酸菌)はなかった。

 気管支拡張症からの出血でとりあえずは止血剤で経過をみるような気はするが、早めに基幹病院の呼吸器内科に回した方がいいです、とお伝えした。連絡すると診てもらえることになり、紹介となった。

 感染症併発なのか、それは非結核性抗酸菌症なのか、(肺炎様の腫瘍?)など気になるが、専門医にお任せしたい。

 

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慢性硬膜下血腫

2024年04月16日 | 脳神経疾患

 4月15日(月)に84歳男性が歩行時のふらつきで受診した。その日腰部脊柱管狭窄症で通院している整形外科の外来があったので、ついでに内科も受診したようだ。

 妻の受診もあり、本人が運転する車で病院に来ていた。会話はできて、反応が鈍い気もするが、見当識障害はなかった。歩行してもらうと、動きは少し緩慢でやや両足を広げているように見える。頭痛・嘔気はないそうで、明らかな麻痺はない。

 1月26日に自宅で転倒して、整形外科外来を受診していた。左腓骨骨折があったが、偏位は軽度で保存的治療となっていた。後頭部も打撲していて、頭部CTが行われたが頭蓋内出血はなかった。

 3か月近く経過していて、1か月前から歩行がふらつくという。妻の話ではもっと素早く動いていたらしい。頭の検査を希望しての受診だった。

 頭部CTで右慢性硬膜下血腫を認めた。健側を軽度に圧排している。

 地域の基幹病院脳外科に連絡すると、診てもらえることになった。車は病院の駐車場に置いて、妻とタクシーで向かってもらうことにした。

 年齢だけでも運転免許返納が好ましいと思うが、さらに脳病変をかかえて、普通に?運転していたのだった。

 

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肺癌があった

2024年04月15日 | 呼吸器疾患

 4月13日(土)は当直だった。夕方病院に来て、日直だった消化器科医と会った。入院がありましたか、と訊くと肺炎のつもりが肺癌だったという。

 隣町の救急隊から発熱・呼吸困難の90歳男性の搬入依頼がきた。地域の基幹病院では受け入れ困難だったという。酸素飽和度が80%ということだった。肺炎として受け入れることにした。

 搬入が決まってから、救急隊から肺癌で町内の病院に通院していて、年齢から経過観察になっているといわれた。最初に言ってほしかった、と笑っていた。

 搬入されて、胸部X線・CTで確認すると、基礎疾患として肺気腫(COPD)がある。そして右肺下葉背側(S6)に空洞を伴う腫瘤影があった。その末梢側に浸潤影と胸水がある。

 血液ガスでPaCO2が67.4mmHgと上昇して、pH7.277と呼吸性アシドーシスもあった。家族と相談して、DNARの方針となった。いったん入院すると退院のあてはなさそうだ。

 空洞といえば扁平上皮癌と想定するが、細胞診などはしていなかったのかもしれない。

 

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甲状腺機能亢進症

2024年04月14日 | 内分泌疾患

 ふだんは逆流性食道炎・慢性胃炎で消化器科に通院している62歳女性が、両下腿浮腫で内科外来を受診した。

 最初は3月7日に受診した。担当の先生は血液・尿検査を行ったが、有意な異常を認めなかった。(胸部X線・心電図は行っていない)

 3月14日に症状が続いて再受診した時は内科の別の先生が担当した。血液検査に甲状腺機能も入れていて、甲状腺機能亢進症だった。(TSH 0.00・FT3 19.03・FT4 3.22)

 この患者さんは2015年に一過性の甲状腺機能亢進があり、無治療で短期間で正常域に戻っていた。抗TPO抗体・抗TG抗体が陽性で抗TSH受容体抗体は陰性だった。当時外科に甲状腺に詳しい先生がいて、橋本病・無痛性甲状腺炎とされた。

 その後、2019年に期外収縮が多発して、循環器科(当時)で甲状腺機能も検査したが正常域だった。

 今回は抗TPO抗体・抗TG抗体だけでなく、抗TSH受容体抗体も陽性だった。甲状腺に詳しい内科の先生に回されて、Basedow病として治療が開始された。

 最初ヨウ化カリウム丸で開始して、抗TSH受容体抗体の外注検査結果が陽性と判明して、メルカゾールも追加された。甲状腺機能は改善してきた。

 担当の先生に訊いたところ、病名は橋本病+Basedow病になります、といわれた。甲状腺ホルモンを抑えるのはヨウ化カリウム丸で、メルカゾールはBasedow病自体を抑えるのに使用します、ということだった。

 

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関節リウマチの胸水

2024年04月13日 | リウマチ膠原病

 関節リウマチで内科外来(大学病院から応援の専門医担当)に通院している91歳女性が3月半ばに入院していた。倦怠感・息切れがあった。

 胸部X線・CTで両側胸水が貯留して、心嚢液も軽度にある。炎症反応は入院時に軽度上昇していたが、その後は陰性だった。利尿薬投与(ループ利尿薬+MRA)でも胸水貯留が改善せず(漸増)、担当の先生が困っていた。

 関節リウマチの処方は、タクロリムス(プログラフ)1.5mg/日・ブシラミン(リマチル)200mg/日・プレドニゾロン5mg/日だった。リウマチの症状は抑えられている。

 不整脈や有意な心臓弁膜症もなく、EFは68%だった。心エコーで見ると、心臓はむしろhyperkineticだった。心不全としてはBNPが20~40pg/mLとさほど高くはない。

 低蛋白血症(5.1g/dL→4.2g/dL)・低アルブミン血症(3.1g/dL→2.4g/dL)が影響している可能性がある。低流量の酸素吸入をしているが、食事摂取は良好だった。

 

 この患者さんは整形外科外来(リウマチ専門医)で関節リウマチの治療を受けていたが、その外来がなくなり、2023年9月から現在の内科のリウマチ膠原病外来に通院している。抗リウマチ薬を変更するにあたって、胸腹部CTを撮影していたが、その時から軽度の胸水・心嚢液貯留はあった。

 担当の先生は原疾患自体の併発症や処方薬の影響について専門医に相談したが、そんなはずはない、といわれた。言い方がきつかったので?、担当の先生としては面白くないようだ。

 とりあえずは、心不全としての治療を強化するしかないか。リウマチ自体あるいは併発症としての胸膜炎・心膜炎の可能性が残るが、よくわからない。

 

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鉄欠乏性貧血Hb3.7g/dLのその後

2024年04月12日 | 血液疾患

 2月13日に記載した、別の先生が診ている鉄欠乏性貧血Hb3.7g/dLの20歳代後半の女性のその後。

 MCV65.5と70未満を呈するのも少ないが、さらに血清鉄4μg/dL・血清フェリチン1.50ng/mLはなかなか見ない値だった。入院して2日間輸血を行い、その後は外来で鉄剤内服に鉄剤静注(フェジン3A=120mg)を追加していた。

 1週間後にはHb6.6g/dLとまずまず安心できる値にはなっていた。そこからは鉄剤内服を継続して、2週間後にはHb9g/dLまで上昇してきた。

 鉄分の摂取不足もあるが、痔出血が続いているそうだ。痔核の軟膏製剤も他院から処方されていた。

 痔の専門クリニックを受診して手術予定となったが、色々揉めて中止になっていた。患者さんの希望で県内有数の市立病院に紹介となったが、ご本人が気に入らなかったらしく受診中断となった。

 担当の内科の先生が、痔の専門クリニックの医師と電話で話していた。先方は開業医であり、問題のある患者さんには関わりたくないのだろう、と記載していた。当面は当院で貧血の治療を続けるしかない。

 貧血がHb6.4g/dLとまた進行して、鉄剤静注を短期間追加していた。担当医にストレスがかかる患者さんだが、辛抱強く診療しておられる。

 自称心的外傷後ストレス障害(PTSD)だが、実際はパーソナリティ障害?。(現在の病名は「~障害」ではなく「~症」にに変更された)

 

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腰椎圧迫骨折の再発

2024年04月11日 | 整形外科疾患

 3月31日(日)の日直の時に腰痛の82歳女性が救急搬入された。腰椎圧迫骨折後で当院整形外科外来に通院していた。(外科当番は別の病院だったが、そういう事情で当院に搬入)

 1月15日に昼寝してから腰痛が続くという訴えで、1月24日に当院の整形外科外来を受診している。腰椎X線・MRIで第3腰椎(L3)の圧迫骨折とL3/L4のすべり症を指摘された。鎮痛薬処方(アセトアミノフェン)と腰椎コルセット作成が行われていた。

 救急搬入の時は、その日の朝にハンガーをかけようして転倒してしまったという。つまずいたことは全部覚えていて意識消失はない。

 腰椎X線で第2腰椎の圧迫骨折がみてとれた。休日のMRIは基本的に頭部以外はしないことになっている。その日は画像検査が少ないこともあり、技師さんに腰椎MRIはどうかと訊くと、やりますといってくれた。

 月曜日は画像検査が混んでいるので、MRIを撮っておいた方が整形外科の手間が省けると思った。ところが患者さんに入院の話をすると、意外にも「帰ります」という。

 動けるなら帰ってもいいですが、と伝えると、介助で起き上がって車椅子でトイレまで行った。(アセトアミノフェン500mg内服後)腰椎コルセットもあるので、それで頑張るという。入院すると動けなくなってしまうから入院したくない、そうだ。

 知り合いに連絡して車で迎えにきてもらって帰って行った。腰痛がひどい時は入院でと伝えたが、結局そのまま自宅で過ごして、整形外科外来の予約があった4月10日に受診していた。

 

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