野中広務 権力の興亡 の感想もまとめ切れてないが、次の小説を読み始めた。
小説 十八史略 。
昔読んで面白くてたまらなかった本である。
町田の高原書店という古本屋さんで文庫で全6巻があったので購入。この高原書店さんという店は検索してみると中々面白い来歴のあるお店で、買った本は捨てないでいつか売れる、と思って四国の大量に倉庫にしまってあるのだそうだ。
町田駅にセールのポスターが張ってあったのでたまたま知ったのだが、1800円プラス消費税144円とお安く買えたので満足。
まだ読み始めたばかりだが、実に上手い。導入部でもう作者の語り口に滑らかに小説世界に誘い込まれていく。
その導入部で、面白い話があってブログに書かずにいられないので書く。
中国の神話時代に羿(ゲイ)という弓の名手がいた。羿は元々神様で怪物を退治したり色々な武功をたてるのだが、色々あって人間にされてしまう。そして弟子をとるのだが、その名が逢蒙(ほうもう)。逢蒙はしだいに師の弓術を体得し、羿(ゲイ)さえいなければ天下無敵というところにまできた。そこで逢蒙は暗黒面に墜ちて、羿(ゲイ)を殺してしまう。これを「羿(ゲイ)を殺すものは是(コ)れ逢蒙(ほうもう)と言う。
「ゲイを殺すものは是(コ)れホーモー」
偶然の一致に笑ってしまった。
このことわざは、ふつうには飼い犬に手をかまれる、という意味で用いられている。しかしほんとうの意味はもっと深刻であった。、あらゆる技について、師の最大のライバルは弟子であり、油断をすれば、いつとってかわられるかわからない。弟子にとっても師は打倒すべき最大の目標である。という冷たい現実を教えるものなのだ。
と書いてあってなるほどなあ、とちょっと賢くなった気にさせてもらった。
このエピソードはさらに一ひねりしてまとめられた上で、見事に次章、酒池肉林につなげられていく。