筒井康隆は昔よく読んで好きな作家だった。
ただ、虚人たち、が出たあたりからあまり読まなくなった。
難しくて読み進められないし、理解できなくなったから。
旅のラゴス、とか虚構船団とかは読んだ。普通の物語が成立している作品は読めたし、まあまあ面白かった。
虚構船団もクオール史の部分は凄く面白かったが、文房具が登場人物になる部分はどうも楽しめなかった。
宇宙からやってくるバーサーカー軍団を文房具の集団としたのは安直すぎないか?
SF作家として、ちゃんと分かりやすい殺戮機械の軍団を考え出すべきだったと思う。
で、そういう精密機械の中身が、いつもの筒井節で俗物根性の権化である、としたほうが良かったんじやないかな。
ホッチキスが怒って、コ、コ、コ、コ、と針を飛ばした、とか何も面白くない。
そんな感じで最近は全く読んでなかったが、たまたまネットで対談を読んだりすると、お元気で面白い。
原宿に住んでいる、というので興味を覚えてそのお住まいを見に行ったら普通に表札が出ていた。
「残像に口紅を」だったか自分の知らない本で、たくさん売れているらしいし、久しぶりに何か読んでみようと、ご自分で最高傑作だとおっしゃるこの本借りてきて読んだが意味が分からない。
アクイナス君もライプニッツ君もアリストテレス君も、この本で語られる思想家の本は一つも読んでないが、そういうの読んで理解してれば、この小説を楽しめるのかね?
なんか、筒井康隆が昔から徹底的に小馬鹿にし揶揄してきた周りの見えなくなった老大家、祭り上げられた裸の王様に自分が陥っているのではないのかな。
amazonのレビューを見るとみんな褒めているけど、その褒めてる言葉がそもそも分からない。
逆に新潮社のサイトで大森望は微妙に褒め殺ししているような気がする。
まあ、図書館で借りて良かった、という感じだ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます