Aという物質をある種の微生物がBやCという物質に変えること、が発酵と言う事だと思います。
ワインの場合、葡萄が持つ糖分を酵母がアルコールと炭酸ガスに変える事を指します。日本酒やビールはでんぷんを糖化してから、発酵が行われます。
昔は当然ですが自然界に存在している「天然酵母」が主役で、畑や蔵に住み着いている酵母が頑張ります。今の多くは培養酵母が効率よく活動します。
どちらが良いかは造り手の哲学、と言う事になるでしょうか?
天然の場合、いわばチームプレーですからスタートで活躍する酵母もあれば、中盤を盛り立てる酵母、終盤にフィニッシュを決める酵母など様々ですね。こういう発酵は場合によっては「乱れる」こともあります。ちなみに発酵温度は自動的に上がって行きますが、それぞれの温度帯で活躍する酵母が違うので、放置する事が多いようです。
逆に培養酵母は優秀な酵母が働きやすい温度帯に保つ必要があります。そこを間違わなければ酵母は糖分を綺麗に食いきります。
前者は得てして複雑、後者は綺麗、と言われる風味を持つようです。
但し、取れる葡萄は毎年違いますし収穫時期によっても違いますし、発酵時の周りの温度湿度も違いますから結果が同じ訳ではありません。
また、酵母だけでワインの性格が決まるわけでもないですしね。果梗ごと発酵する、ステンレスタンクで発酵、木樽で発酵などでも違うし、発酵時の浮かび上がってくる果皮などの管理の仕方にもよるでしょうし・・・・
ソムリエとしてはどちらのタイプも「バリエーション」として考えます。複雑さの欲しい料理、シンプルであって欲しい料理、色々です。
自然界の賜物、ワイン。頑張って、それぞれの個性を引き出したいな、と思います。