若い頃のお客様に「このワインは30分で落ちた」と言われたり、それに近い表現をされたりしました。
また、同業者でもそういう表現を使う人がいます。
しかし、私の体験上、ほとんどのワインは30分やそこいらで「落ちる」ことはありません。
よっぽど古い、例えば40年も50年も経ったワインならあるかもしれませんが、通常のヴィンテージではそういうことはありません。
そういう現象は「落ちる」ではなく「ゆっくりと開いている途上」であったり、温度やエアレーションで答えが違ってきたりするのです。
多くの場合が、セラー温度から出してきて「やや温度が上昇した時点」です。
ワインの味わいの内、酸味と甘味は温度上昇で感じやすくなりますが、多くの場合に酸味から目立ち始めます。
そのタイミングでは「ふくよかな果実の甘み」は感じにくく「閉じた感じ」が目立ちます。
追い掛けるようにして甘味が出てくるのですが、多くの場合「それを待てない」のですね。
そむりえ亭の場合は「ほぼグラスワイン」ですから早い時間から温度調整をしてスタンバイしていますので、そこのところはクリアしやすいのですが、セラーから出したての場合、一回のデキャンタではいい温度に達しませんね。
「空気には充分に触れている」と思っても温度が邪魔をしているのです。
なんて言いながらも、そむりえ亭でも万全ではありません。
そんなの無理。
しかし、最後までケアをすることで対処できることもあります。
グラスに注いでからグラスを回して差し上げる、とか・・・
温度に関する「ワンワード」を添える、とか・・・
或いは料理を口にしてからのマリアージュの面白さをお話しておく、とか・・・・
色々な手法で「落ちてると思っている状態からの回復」を図れます。
大概のワインは元気です。
簡単に「落ちた」と判断するのは勿体ないですね。
ワールドカップに出るような選手でも試合開始早々から本領を発揮するのは難しいのですから、ワインもゆっくりと待ってあげてください。
或いは幾つかのスキルを覚えて臨んで、美味しく飲ませてあげてください。
特にソムリエには「落ちた禁止令」があってもいいのではないかな、と思います。
樋口誠
また、同業者でもそういう表現を使う人がいます。
しかし、私の体験上、ほとんどのワインは30分やそこいらで「落ちる」ことはありません。
よっぽど古い、例えば40年も50年も経ったワインならあるかもしれませんが、通常のヴィンテージではそういうことはありません。
そういう現象は「落ちる」ではなく「ゆっくりと開いている途上」であったり、温度やエアレーションで答えが違ってきたりするのです。
多くの場合が、セラー温度から出してきて「やや温度が上昇した時点」です。
ワインの味わいの内、酸味と甘味は温度上昇で感じやすくなりますが、多くの場合に酸味から目立ち始めます。
そのタイミングでは「ふくよかな果実の甘み」は感じにくく「閉じた感じ」が目立ちます。
追い掛けるようにして甘味が出てくるのですが、多くの場合「それを待てない」のですね。
そむりえ亭の場合は「ほぼグラスワイン」ですから早い時間から温度調整をしてスタンバイしていますので、そこのところはクリアしやすいのですが、セラーから出したての場合、一回のデキャンタではいい温度に達しませんね。
「空気には充分に触れている」と思っても温度が邪魔をしているのです。
なんて言いながらも、そむりえ亭でも万全ではありません。
そんなの無理。
しかし、最後までケアをすることで対処できることもあります。
グラスに注いでからグラスを回して差し上げる、とか・・・
温度に関する「ワンワード」を添える、とか・・・
或いは料理を口にしてからのマリアージュの面白さをお話しておく、とか・・・・
色々な手法で「落ちてると思っている状態からの回復」を図れます。
大概のワインは元気です。
簡単に「落ちた」と判断するのは勿体ないですね。
ワールドカップに出るような選手でも試合開始早々から本領を発揮するのは難しいのですから、ワインもゆっくりと待ってあげてください。
或いは幾つかのスキルを覚えて臨んで、美味しく飲ませてあげてください。
特にソムリエには「落ちた禁止令」があってもいいのではないかな、と思います。
樋口誠