池袋モンパルナス……そこは、子どものころの私が暮らした場所の近くにあり、
今のように塀や境界などがうるさくなかったときに、猫と子どもは遊びに夢中になりながら、
よその家に入り込んでもそれほど怒られることのなかったそんな時代だった
映画の終盤、魚の精のような男が宇宙に旅立っていくが、
そんなことがあっても不思議でない空気が東京にもあった
あの、要町、椎名町、千早町から落合にかけては、
画家、音楽家、小説家、…もったいぶった言い方をすると“芸術家”と呼ばれる人たちが、
多く住んでいた
漫画家たちが集まって暮らしたときわ荘もこの近辺になる
熊谷守一……画壇の仙人と呼ばれたこの洋画家も、この場所のうっそうとした庭の中で暮らした人だ
樹木希林と山崎努が夫婦役で出るというので、旦那を誘って観に行った
ファンタジーな演出が、時折混ざるのだが、その混ざり具合がもう少しうまくいくとよかったのになあ
と思うほど、この夫婦の存在が自然で、そして何にも迷わされないものを感じ
とても魅力的だった
風変わりなご夫婦なのに、人の出入りが絶えない
反対に人が出入りしても気にしないのだろう…その居心地の良さが伝わってきて、ほんわかした
もう大個展は終わってしまったが、
映画がとても印象的だったので、熊谷守一美術館に行こうよと旦那を誘ってみている