実はツタヤに『小川の辺』を探しに行った。
先日、東京に行く前に棚の下の方に確かにあったのだが、もうすでに貸出済みで借りることができなかった。
なんとなく落ち着かない日々を過ごす今、戻っていればと思ったが今度はモノ自体が無かった。
無いとなるとどうしても観たくなる。ちょっとだけ遠いゲオに探しに行った。
ところがそこでも無かった・・・・・・で、時代劇の棚にあったのが『花のあと』だった。
とりあえず藤沢周平繋がりで借りて来た。手を伸ばした時も、北川景子にいささか疑問を持っていた。
いやあ、残念です。思った通り北川景子は、武家娘の所作は手順でいっぱいいっぱいだし、刀を構えるだけで精一杯の殺陣に目を覆った。
『山桜』の田中麗奈も唸ってしまったが、この北川景子はとにかく足りないものだらけだった。
殺陣はまあ我慢の範疇だが台詞は棒読みの宮尾俊太郎とのかけあいは、小学生でももう少しましだろうと感じた。
物語の大詰め、以登と藤井勘解由との戦いは、日の出前の設定で全体にうす暗く目をこらさないといけない演出になっていたが、
…申し訳ないが、どこをどうしたか私はここで居眠りを始め、旦那に「お前、佳境に入った場面だろう!」とあきれられてしまった。
そんな一面だが、この映画、決して面白くなかったわけではない。
それは以登の婚約者片桐才助役を演じた甲本雅裕だ。 彼は素晴らしかった。
國村隼、柄本明、語りに藤村志保と要所、要所に名脇役を置いて映画が崩れることを防いだが、この映画はとにかく甲本雅裕がいい。
所作もきれいだし、表情の一つ一つに意味がある。 何より、丁寧に才助を演じてくれた。
そして彼の力が、観る者を藤沢周平のあのほんわかとした独特の世界に導いてくれ、観終わった後の気分がとても良かった。
ここら辺は残念の極みだった『山桜』とは違う。 人気女優を使わないと興行が成り立たないのだろうが、やっぱりそれでも演じられる技量をもっていてほしいものだ。
こうなると『小川の辺』が気になるところだ。どこかでみつかるといいなあ・・・。