退院後の姉は、姉の持つ「病気」に関して言うと驚くほど順調な経過をたどっているように見えます。
ただ、激変してしまった体調・環境・これからへの不安・・・諸々が彼女を押しつぶしているようです。二日ほど前にいさかいをしました。治療のせいもあると思われます。自宅に帰ってから周囲に不満をぶつけていました。まあ、こういうときはこんなもんだろうと、「ハイ」「そうだね」と軽く答えていたのも腹が立っていたようで、ケアマネージャーさんが来月の話をしに立ち寄った時に爆発しました。ヒステリー・・・を起こしていると今なら理解ができますが、その時はそういう状況の姉に驚くばかり・・・。
時間をかけながら、少しずつ話をしていくうちになんとなく見えてきたのは、4か月の入院の間、あれもしなくてはこれもしなくてはと考えていたようです。それが現実に今家にいて、体が思うように動かずできないことの方が多いようです。焦りを感じているようです。
仕事の面から言うと、幸いに大きな会社に勤めているのですぐどうのこうのということはありませんが異動の話がやはり出ているようで、それも負担になっているようです。
気分転換が大事だと思い、今日は午前中買い物に誘いました。
疲れて帰りはタクシーを拾いましたが、それでも、途中休憩で入ったコーヒー店で、久しぶりのウインナコーヒーに「娑婆の味だ」と喜んでくれました。
ゆったりとした珈琲の香りがよかったのか「自分が楽しく過ごせることに体力を使ってほしい」という私の言葉を、今日は受け止めてくれたようです。
高揚と脱力・・・あまり体調によろしいとは思えない状況ですが、これも姉と周りにいる家族と少しずつ折り合いをつけて前に向かうしかないと感じ始めています。本当に癌は厄介な治療を必要とする病気です。
店先に立派な“根ミツバ”があり「おひたしが食べたい」というので今晩は、山もり春の香りを用意します。