「ヘルパーさんをつぶされるわけにはいかないから」
常勤さんがそう言ってくれました。
この仕事、とても難しいです。
在宅介護を必要な方はたいていどこかが悪いのです。
病気を抱えていらっしゃれば、頑固にもなるし、虫の居所が悪い日も多くなります。
「仕事」として一定の線引きをしてかからないと、身が持ちません。
仕事ですから、割り振られたお宅には行きます。
それでも“勇気”が必要な方はいます。
その方は要支援1で介護認定からすると一番軽いもので、
週に一度お掃除に入っていました。
何がどういけないのか行くたびに“要望”や“指摘”がありました。
きっと私に至らないところがあって不信感を持ってしまわれたのだと思い、
とにかく誠心誠意活動することを心がけました。
が、半年を過ぎても変わることがありませんでした。
先々週、風呂の排水溝の掃除をやっているかと尋ねられました。
私の仕事は、介護保険を使うため“大掃除”はできません。
普段、ごみ受けのあたりまでは毎回掃除していたのですが、言われたのはその先でした。
どういうわけかそこの排水はごみ受けの先が外れ、排水溝までべろっとあけることができました。
月に一度でいいから手袋はめて掃除してくれと言われました。
パイプ洗浄剤などの使用は言下に否定されたので仕方がありません。
そして、やったことは事務所に報告するのですが、そこで「待った」がかかりました。
これまでの“要望”は一歩間違うとクレームになりますから、逐一報告していたのですが、
いくつかの出来事で事務所からは「少しおかしい」と言われていました。
今から振り返ると“あら捜し”としか思えない“要望”がほとんどで、
何より信頼回復せねばとしゃかりきに緊張して入っていた私には、何も見えなかったのです。
事務所を介してこのたびの要望の断りが入ったら、今度は、
「○○さんは体格が良くてこの狭い家では申し訳ないから、小柄の人にかわれないかしら」
と“要望”された。
あああ、だめだなあとあきらめてその旨事務所に伝えたら、
前述の
「ヘルパーさんをつぶされるわけにはいかないから、
すぐ代わりのひとを探します」
と言っていただいた。
相性が悪かったのだろうと思います。
思いますが、私としては精いっぱい真面目に向き合ったつもりでいました。
つもりでいたのですが、それを受け入れてくださることはなかったんだなあとほうけています。
つもりでは、本当はいけないのですが、
「たかが家の掃除、楽しくやれなければ続きません」
常勤さんはそういう風に言ってくださいました。
ヘルパーつぶしの上手な方いらっしゃるんです。
ヘルパーが長続きしないとっかえひっかえ変わるというのは危ないです。
うちの事務所の常勤さんは、そういう方を担当するときはきちんと説明してくれるので、
覚悟して入るのですがそれでもきついものがあります。
長続きの秘訣は、ヘルパー側には大してありません。
使っていただく利用者さんの心の広さにあります。
うまくいっているお宅でも、利用者さんが我慢していらっしゃることたくさんあると思います。
その上でできることをお手伝いするのがヘルパーの仕事で、
本来から言うとこの仕事資格なんか、いらないくらいなんです。
掃除でも洗濯でも、調理でも、身体介助でも、同行でも、
家族や親族なら資格が無くても、誰でもやることできることをするのですから、
ただ、赤の他人が保険を使って仕事をするから、資格がいるというだけなんです。
だから、私たちは経験を重ねて、うまい按配を見つけていく…経験だけがヘルパーの道具です。
あああああ、すっきりした!!
先ほど代わりのひと見つかったと連絡がありました。
今月いっぱいで交代できます。
ほっとした!!
いい勉強をさせてもらいました。これを糧に、次の方のいい按配を探します!