新聞記事で「単館からSNSの口こみで全国公開へ」という記事を読み、
観たいなあと思っていた「侍タイムスリッパー」を観に行った
いやあ、笑った
大笑いしたわけではないが、思わず笑わされていた
現代に置かれた侍の、その生真面目さに笑いが出た
私は時代小説が好きで、時代劇が好き
本も読めばドラマや映画も好んで観る
サッカー観戦をするために旦那様がスカパーを使うようになり、
時代劇専門チャンネルを観られるようになり毎日今日は何があるかとたのしみに番組欄をさぐる
時代劇はセットも衣装も道具も、所作も言葉遣いも何から何まで専門知識の固まり
生半可な付け焼刃のものだと途端にうさん臭くなる
この映画は自主製作映画
だが脚本の面白さに東映京都撮影所が手を貸した
主演は山口馬木也 ああ、見覚えのあるとおもい記憶を探り秋山大治郎にたどり着いた
あの生真面目な剣豪役 派手さはないが圧倒的だった
「侍タイムスリッパー」では、山口馬木也が暗闇の中、会津弁でそこにいる状況説明から始まる
あの維新の時代に、佐幕派の藩の平侍が置かれている距離や心細さや頼りなさ、必死さが伝わった
そして雷鳴轟きタイムスリップしたのは現代の時代劇撮影所
まわりは偽物作り物の中、根っからの「侍」が紛れ込んだ その異質感が素晴らしかった
だが彼は騒ぐでなく、慌てるでなく、次第におかれた時代になじんでいく
そのなじんでいくさまが、ほろりとさせ、笑わせる
そして最後の決闘“シーン”
びたっと目を据え、すきを窺い、そのまま無音の時間が流れる
鳥肌がたった
すべて演技なんだよなあ
そこにいたのは生まれたときから武士として育てられたまぎれもない侍
見ごたえのある時代劇……いやこれ現代劇なのかな?
面白かった ご覧になっていない方、もしお近くで上映されているならぜひおすすめします