
毎朝 柱時計のねじを巻く
いつものようにねじを巻いたら、ぼろっと長針が落ちた
ぎゃあああ
訪れた途方もないガッカリ感 え、え、えええ!
(後で聞いたら、毎朝10分ほどすすんでいたので針を戻していたのがいけなかったようです
その場合は、振り子で調節するんだそうだ)
もうせっかく直したのに…せっかくきれいに動いていたのに!!と言う気持ちの沼にはまっていた
子ども達にはこの時計、すこぶる評判が悪い
カチカチとなるふりこの音がおいたてられているように聞こえるらしい
夜中も律儀に鳴る時報もうるさいと言うのでこちらのねじは巻くのをやめた
彼らの言い分で理不尽だと感じるのは、
この時計の下でリモート会議や飲み会をやるのだ
そうするとパソコンの向こう側からクレームがあると言うのです
他でやればいいのに、背景にカーテン以外入り込まないこの場所が都合がいいようです
うるさいといわれて時計を外したり、振り子を止めたりする
当然だが朝、時刻を合わせなければならなくて針を動かす…
それもこの古い時計には荷が重いらしい、、、
外れた針をみながらしばらくほうけていたが、簡単になおるのかもしれないと思い
時計の病院に電話を入れて、運んだ
当然「しばらく預かります」といわれると思い、
久しぶりの街中に帰りはどこを見て歩こうかとわくわくとして行ったのだが、
「10分ほどお待ちいただけますか?」
へ? あら、すぐ直るんだ…心の動揺を抑えながら番号札を受け取った
前にも書いたかな?
子どもの頃は虚弱でよく布団にくるまって一人で寝ていた私にとって、
この時計の音は、静かな家の中で聞こえる唯一のものだった
「ひょっこりひょうたん島」世代の私ですからテレビはありましたが、
今のように四六時中つけているようなことはなく、
あ、布がかけてありましたし、扉がついているのも知っています
決まった番組を家族みんなで観るという状況で、それ以外はラジオだったように思う
熱を出しているときはラジオもダメで、
母親が買い物に出たときなどしんとした家の中が怖くてねえ、
布団に潜り込んでいると、柱時計の音が聞こえてきてほっとしたものだ
その柱時計の音を娘たちにうるさいといわれて、やっぱり落胆したんです
直すのをやめようかなとも考えたのですが、古いものは壊れ切ってしまうと二度と直らなくなるもの、
動き出した時計にほっとしたのも確かです
この家は私の家…これについては好きにさせてもらう!
と決意して元の場所にもどしカチコチ言わせている
娘も息子も見上げたが、何も言わなかった