バイスはポリティカルコメディというより、ポリティカル&コメディ。2000年代を検証しつつ2010年代のみならず全世界の民主主義の未来への問題提起をする、笑ってる場合じゃないが笑っちゃう映画として、かなり心に残る超傑作でありました
サム・ロックウェルは俺たち左派の「理想」のブッシュを完ぺきに再現 . . . 本文を読む
映画としての新しさとか個性はあまり感じられない
割とスタンダードな映画
丁寧に丁寧に、脚本を大事にして、主人公二人のキャラを丹念に描いていくのだが・・・
ハリウッド式予定調和が妙に目立つ
例えば冒頭で、トニーが家に工事に来た黒人の配管工が水を飲んだコップを捨てるくだり
序盤でこのような描写を見せるということは、終盤では黒人を差別しなくなって、主人公の成長を見せるんだろーなー、とそんな読みが働 . . . 本文を読む
ワシントン・・・(1)アメリカ初代大統領、(2)10000人もの白人たちによって公開リンチ、処刑された黒人青年、(3)映画「ブラック・クランズマン」の主演俳優
白人によるアメリカ史を、白人によるアメリカ映画史への批判。
KKKが黒人から女性を守るために駆けつけるクライマックスは「國民の創生」の痛烈なパロディとなる。
でもすべてはラストで現代の差別へ、その首魁であるドナルド・トランプへの映画という武器での宣戦布告へとつなげる、本物の社会派映画 . . . 本文を読む
上映作品
「老ナルキソス」
「ピンぼけシティライツ」
「23:60」
「ホモソーシャルダンス」
「老ナルキソス」
ゲイでマゾで老人のトラウマを巡る物語。という時点で原作がベストセラーで主人公がジャック・ニコルソンとかモーガン・フリーマンクラスの人でないと誰も見ないような映画だが、もちろん出演者はそんなスターではなく、脚本もオリジナルである。
にもかかわらず、この映画は魅せる。
まさに決して商 . . . 本文を読む
上映作品
「老ナルキソス」
「ピンぼけシティライツ」
「23:60」
「ホモソーシャルダンス」
大府ショートフィルムフェスティバルに我が「唯一、すべて」が入選し上映された。
同じ映画祭で初めて東海林毅監督を知る。東海林監督作品で上映されたのは「ピンぼけシティライツ」だった。
水着姿のグラビアモデルの幽霊が、売れないダメ人間写真家に取り憑き、イヤミを言いまくるという作品だった。
その作品からは . . . 本文を読む
旅から旅への生活、たまに帰れば家族と喧嘩、ヤクザな稼業、口は悪いが不思議と人に好かれる…って映画を観ました。
お、寅さんかい?
いいえ、クリントさんです。
『ミスティックリバー』から『グラン・トリノ』くらいまでを濃厚なワインとするなら、『運び屋』は軽口なハウスワインの味わい。どちらかといえば『トゥルークライム』や『ブラッドワーク』のころのノリに近い。とはいえ、そうした20年くらい前のハウスワイ . . . 本文を読む
緊急通報の電話番をしている警察職員に、車の中の女から緊急連絡
「ハーイ、元気」
「おい、酔っ払ってんのか?」
だが女はどうも子供と話してるかのような一方的な会話を続ける
「イエスかノーで答えて、隣の人は緊急通報にかけてることを知ってる?」
「…ノー」
「誘拐されたのか?」
「…イエス」
以降、カメラは警察職員だけを写し、誘拐事件をめぐるストーリーは電話からの音声と電話担当官の表情だけで展開され . . . 本文を読む
「ROMA」監督:アルフォンソ・キュアロン
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アカデミー賞を前にNetflixでROMAを見る
この最初の1行に映画史のターニングポイントになるかもしれないこの映画を取り巻く状況が込められている
キュアロンは「ゼロ・グラビティ」で映画における宇宙空間の表現方法のデフォルトをアップデートさせた。かなり明確なエポックメイキング作となったのだけど、ROMAもある意味で映画賞という歴史では重要 . . . 本文を読む
薄れゆく存在の確かさを、そこにある肉体の感覚でなんとか繋ぎとめようとする男の悲しい哀しい物語。全ての登場人物と、全ての観客を不幸に突き落とす傑作「バーニング劇場版」をぜひ劇場で。
本当にふさわしいタイトルはチョン・ジョンソ劇場版だけど
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日本公開タイトルの「劇場版」がものすごい安っぽさを出している。いい映画なんだけどこれだけはやめてほしい。村上春樹の原作は「納屋を焼く」なわけで、「バー . . . 本文を読む
みんな苦しさや辛さを抱えている
世界は本当はそんな息苦しさで満たされ破裂寸前なんだ
世界の冷淡さを全部担ったようなシャーロット・ランプリング姐さんだって、ほんとは苦しいんだ!
でもそれを言葉やストーリーで語ると陳腐になる。語りを避けつつ我々に悲しみを共有させながら最後は突き放す残酷な映画。じわじわきまっせ
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シャーロット・ランプリング主演映画はひらがな4文字にする方針
「まぼろし」「 . . . 本文を読む
恒例の2018映画マイベスト記事を書く前に、ベストでもワーストでもないから記事に出てこない「カメラを止めるな」について、ブームも収束した今だから書けることもあるような、無いような気がして。あと今書いとかないと、一生わざわざ書くこともないだろうから、映画編集作業の合間にグダグダ書いてみた
基本は否定派としての文章ですが、最後にほめることも書いてます。
批判的なところはほぼ私の感想でしかなく、中には明 . . . 本文を読む
シーツかぶった男が黙って立っているだけで映画として成立する。この発見はとても大きな収穫だった。映画監督は時として、沈黙に耐えきれず、静止に耐えきれず、つい色んなことをやろうとしてしまうのだが、映画を信じて我慢することも必要だ。映画にはまだまだ我々が気付いていない描き方がある。
編集でテンポ良く見せようという意図がなく、ハリウッドらしからぬ、間延びを恐れない演出。むしろロシア映画というかタルコフ . . . 本文を読む
細かい話から始めるが、音の使い方にまずゾクゾクした。
刀を握りしめているだけで、チリチリと金属音が響く。刀の音といえば、普通は「抜く」「斬る」「収める」あと鍔迫り合いてのガキーンとかそんな音が定番だけど、本作ではただ握っているだけの時にも音がなる。
本物の刀は持ったことないので実際に持ってるだけで音がするのかは知らない。しかしこのチリチリする音は、すごい力で柄を握りしめていることを表し、それは緊 . . . 本文を読む
「ナチュラル・ウーマン」
飯田橋ギンレイホールにて、シェイプ・オブ・ウォーターとの併映で見た。なんとお得な二本立てか
スクリーンに釘付けな魂の映画
ダニエラ・ベガは聖女に見えた
皆から嫌われ恐れられ馬鹿にされ汚されてもなお、彼女は清らかで美しくあり続ける
映画作家は、今その映画を作る意義を自分にも世界にも問いかけていかなければならない…と、最近は本気で思う。
訴える事なんか別に無い、単に . . . 本文を読む