昨日のgooは、訪問者数は今年の平均位だったのだが、ベスト20のトップに、突然、2011/9/24の章が在った事に驚いた。
と同時に、この間から、京都を訪れて思っていた事とシンクロしたから驚いたのである。
先日、京都御所の梅を探索に訪れた際に、彼の保護作業が為されている大木を観て、彼のこの記事を思い出していたからである。
今日帰宅して、この記事を読みなおしていた時、不覚にも涙が流れた。
最澄が言ったと言う「国の一隅」とは、正に彼の様な人間の事だと、芥川は思っていたからである。
下鴨神社や京都御所に行った事のある人は、彼の活動によって保護されている大木を観たはずである。
以下は2011/9/24から。
芥川が、去年の10月から週末や休日の度に70回以上も京都の庭園=神社仏閣、世界遺産の数々を訪れた事は、読者の方は、御存じの通り。
この記事と続きを読んで、涙が出た。京都の世界遺産や、織田信長ゆかりの神社等の古木…下鴨神社は市街地に在る原生林…が、ボランティアの手で、防がれていたなんて。
京都の森も、きちんと国なり神社仏閣共同なりの、公共で守れない様な国なら本当にお終いだと思うからだ。
以下は2011/9/24の朝日新聞から。
京都府森林技術センター主任研究員 小林 正秀さん(45歳)
ナラ枯れから京の神木を守る
紅葉の季節でもないのに、京都の山々が所々で茶色に染まっている。米粒ほどの甲虫 「カシノナガキクイムシ」 (カシナガ)が巣くうことによって広葉樹が枯死する「ナラ枯れ」だ。
カシナガは大木を好む。京都御苑など街中にも飛来し、世界遺産として知られる下鴨神社、建勲神社など名のある社寺で、樹齢数百年の神木が危険にさらされている。
林野庁によると、ナラ枯れの被害は1980年代から広がり、昨年度は30都府県で確認された。前年度4割増の33万立方メートルが枯れたとされる。
その対策の最前線に立つ研究者だ。シンポジウムや講演で積極的に発言する論客としても注目されている。
現場にこだわり、カシナガの襲来がピークを迎える夏は自ら防除作業に走る。不休の日々で「毎年5キロ以上やせる」という。
ビニールシートやウレタンなどを木の幹に巻き、侵入を防ぐ。最近は、ヒノキの木くずの強い香りで追い払ったり、手作りの「ペットボトルトラップ」を木にぶら下げ、虫を捕らえたりする低コストの方法も考案した。
今夏はボランティアとともに対策を取った3ヵ所で約50万匹を捕獲し、二つの神社での枯死はほとんどなかった。
「ナラ枯れは、日本社会が農山村を見捨ててきた結果。小さな虫がそのことに気づかせてくれる」と言う。
林業の不振とともに森林が荒れている。手入れされずに弱った大木でカシナガが繁殖し、被害が広がった。
人が山を使わなくなったことの「とばっちり」を、神木が受けていると考えている。
ナラ枯れはさかのばれは江戸時代以前にもあった。だが、かつては切り倒した木材にカシナガが寄生した後、焼いて炭にしていたこともあり被害は広がらなかった。今、炭焼きの担い手は少ない。
「私たちが便利であることを追い求めた結果、薪や炭は利用されなくなった。地球の温暖化が進み、原発事故も起きた。今こそ森を賢く利用して、持続可能な社会を作るべきだ」
規格外の公務員だ。対策のスピードを最優先させたいと現場に通いつめ、「職場への出勤が少ない」と怒られる。
繁忙期は事務作業の時間を惜しみ、残業手当や旅費の請求は後回しになる。
「一人ではできない仕事ができるから公務員をしている」。
精力的な活動は、ボランティアの輪を広げ、駆除の道具や薬剤を開発するメーカーの協力につながっている。
その名の通り、美しい自然に囲まれた京都府美山町(現・南丹市)で生まれ育った。
今も住む自宅はかやぶきで築200年。
国の重要文化財に指定されている。
医者や薬屋をしながら農林業に携わってきた代々の血が流れている。
疲れると、先祖の位牌がある仏間で寝るという。
「かつての日本人は『先祖に恥ずかしくないように』という価値観で生きていたはずだ。
経済原理だけで世の中が動いていっていいのか」
森の中から、日本の未来を考えている。
文・中島耕太郎 写真・小杉豊和
と同時に、この間から、京都を訪れて思っていた事とシンクロしたから驚いたのである。
先日、京都御所の梅を探索に訪れた際に、彼の保護作業が為されている大木を観て、彼のこの記事を思い出していたからである。
今日帰宅して、この記事を読みなおしていた時、不覚にも涙が流れた。
最澄が言ったと言う「国の一隅」とは、正に彼の様な人間の事だと、芥川は思っていたからである。
下鴨神社や京都御所に行った事のある人は、彼の活動によって保護されている大木を観たはずである。
以下は2011/9/24から。
芥川が、去年の10月から週末や休日の度に70回以上も京都の庭園=神社仏閣、世界遺産の数々を訪れた事は、読者の方は、御存じの通り。
この記事と続きを読んで、涙が出た。京都の世界遺産や、織田信長ゆかりの神社等の古木…下鴨神社は市街地に在る原生林…が、ボランティアの手で、防がれていたなんて。
京都の森も、きちんと国なり神社仏閣共同なりの、公共で守れない様な国なら本当にお終いだと思うからだ。
以下は2011/9/24の朝日新聞から。
京都府森林技術センター主任研究員 小林 正秀さん(45歳)
ナラ枯れから京の神木を守る
紅葉の季節でもないのに、京都の山々が所々で茶色に染まっている。米粒ほどの甲虫 「カシノナガキクイムシ」 (カシナガ)が巣くうことによって広葉樹が枯死する「ナラ枯れ」だ。
カシナガは大木を好む。京都御苑など街中にも飛来し、世界遺産として知られる下鴨神社、建勲神社など名のある社寺で、樹齢数百年の神木が危険にさらされている。
林野庁によると、ナラ枯れの被害は1980年代から広がり、昨年度は30都府県で確認された。前年度4割増の33万立方メートルが枯れたとされる。
その対策の最前線に立つ研究者だ。シンポジウムや講演で積極的に発言する論客としても注目されている。
現場にこだわり、カシナガの襲来がピークを迎える夏は自ら防除作業に走る。不休の日々で「毎年5キロ以上やせる」という。
ビニールシートやウレタンなどを木の幹に巻き、侵入を防ぐ。最近は、ヒノキの木くずの強い香りで追い払ったり、手作りの「ペットボトルトラップ」を木にぶら下げ、虫を捕らえたりする低コストの方法も考案した。
今夏はボランティアとともに対策を取った3ヵ所で約50万匹を捕獲し、二つの神社での枯死はほとんどなかった。
「ナラ枯れは、日本社会が農山村を見捨ててきた結果。小さな虫がそのことに気づかせてくれる」と言う。
林業の不振とともに森林が荒れている。手入れされずに弱った大木でカシナガが繁殖し、被害が広がった。
人が山を使わなくなったことの「とばっちり」を、神木が受けていると考えている。
ナラ枯れはさかのばれは江戸時代以前にもあった。だが、かつては切り倒した木材にカシナガが寄生した後、焼いて炭にしていたこともあり被害は広がらなかった。今、炭焼きの担い手は少ない。
「私たちが便利であることを追い求めた結果、薪や炭は利用されなくなった。地球の温暖化が進み、原発事故も起きた。今こそ森を賢く利用して、持続可能な社会を作るべきだ」
規格外の公務員だ。対策のスピードを最優先させたいと現場に通いつめ、「職場への出勤が少ない」と怒られる。
繁忙期は事務作業の時間を惜しみ、残業手当や旅費の請求は後回しになる。
「一人ではできない仕事ができるから公務員をしている」。
精力的な活動は、ボランティアの輪を広げ、駆除の道具や薬剤を開発するメーカーの協力につながっている。
その名の通り、美しい自然に囲まれた京都府美山町(現・南丹市)で生まれ育った。
今も住む自宅はかやぶきで築200年。
国の重要文化財に指定されている。
医者や薬屋をしながら農林業に携わってきた代々の血が流れている。
疲れると、先祖の位牌がある仏間で寝るという。
「かつての日本人は『先祖に恥ずかしくないように』という価値観で生きていたはずだ。
経済原理だけで世の中が動いていっていいのか」
森の中から、日本の未来を考えている。
文・中島耕太郎 写真・小杉豊和