以下は前章の続きである。
自衛隊論争に終止符を
田北
首相は昨年5月3日、9条を堅持した上で自衛隊を明記する改憲案を提案しましたが、今後の展望をどう描いているのでしょうか? 安倍
櫻井さんのセミナーで憲法改正に関する私の考え方を述べさせていただきました。
残念ながらこれまで憲法議論は進んでこなかったんですね。
自民党は党是である憲法改正を進めていく責任があります。
過去5回の国政選挙で公約に掲げてきましたからね。
私はまず一石を投じて議論を活性化させようと思いました。
党内議論は活発化し、国民の皆さまにも野党にもご注目をいただいていると思います。
櫻井
あれはすごいくせ球でしたからね。
安倍
政治は現実ですから、いくらやりたいと言っても改憲の発議には衆参でそれぞれ3分の2超の議員の賛成が必要です。
相当高いハードルです。
その後、国民投票というもっと高いハードルがあります。
では、国民の皆さんに賛成していただけるところはどこか。
私はまず自衛隊の違憲論争に終止符を打つことではないかと思いました。
自衛官が息子さんに「お父さん、憲法違反なの?」と言われたというんです。
教科書に書いてありますからね。
さぞショックだったかと思います。
櫻井
「命をかけて任務を遂行します」と宣誓して自衛官になる人たちは本当にそのように行動します。
それなのに「憲法違反なの?」と子供さんに言われるのは本当につらい。
安倍
朝日新聞の調査によると、憲法学者で自衛隊を合憲と言い切る方は2割ちょっとしかおらず、7割以上が違憲の可能性を完全に否定できないというのが現状です。
こうした論争に終止符を打つことが私たちの世代の責任ではないでしょうか。
昨秋の衆院選では初めて4項目に絞って憲法改正したいと考えていることを表明しました。
その結果、大勝させていただいたからには当然、党において議論を進めていただけるものと期待しています。
田北
自民党総裁としてどのようなスケジュールを描いているのですか。 安倍
スケジュールを含めて私かいま口を出すとややこしくなる危険性があるので…。
国会が発議することなので党にお任せしたいと思っています。
我那覇
沖縄の一県民として「誰が沖縄を守ってくれるのか」と思います。
選挙ではいつも基地問題が争点になり、本土の皆さんに「申し訳ありません」と言われるのですが、日本国の安全を沖縄が担っているんだから、むしろ国防を強化すべきです。
安倍
騒音や事故があるので基地を受け入れてくれている方々が負担を感じることは当然あると思います。
ですが、もし日本が攻められたとき、自衛隊と米軍が共同対処して命をかけて沖縄を守っていく。
このことはぜひご理解いただきたい。
訓練は迷惑になることもありますが、それを受け入れてくれる人がいて初めていざというときに対応できるんです。
櫻井
首相がリーダーシップを発揮して平成30年を本当に実りある年にしていただきたいと思います。
本日はどうもありがとうございました。
半井
頼りにしております。
安倍
どうぞよろしくお願いします。
ありがとうございました。