以下は前章の続きである。
彼女の一家はナチスに追われ、満州国経由で日本に落ちてきた。
彼女は日本で中学を出たあと米国留学を希望した。
が、亡命ユダヤ人にはビザも出ない。
近所に住む広田弘毅が米国を説得して彼女は先の戦争前夜、カリフォルニア州の全寮制カレッジに入ることができた。
松下はここも端折って戦後、20歳そこそこでマッカーサー憲法の起草班に入った彼女を「日本の女権確立の立役者」に仕立て、彼女は日本女性に初めて「男と平等」(憲法条文)を与えたと祭り上げた。
この白人女は知っているのだろうか。
彼女の信ずるユダヤ教世界では女は不浄と規定され、女が子供を産むと30日間も不浄小屋に閉じ込められる。
不浄な女が不浄な女児を産むと倍の60日間、閉じ込められた。
エルサレムの嘆きの壁に不浄な女が触れるようになったのはつい先日のことだ。
ベアテの世界の方こそ女権に問題があるのだ。
彼女の本質は「黄色い日本人は劣っている」と見下す人種差別主義者だ。
松下はそれが分からない。
彼にとって大事なのはコラムのパターン。
誰も知らないグージュを出してベアテに繋ぎ、マッカーサー憲法を称揚した。
あとは「それにつけても安倍は悪い」の落ちをつければいい。
で、彼は「安倍は個人の尊厳をもっと重んじ、憲法改正を破棄すべき」で、そうしないと「きっとベアテに怒られる」と結ぶ。
「エビデンス? ね-よそんなもん」の高橋純子より出来が悪い。
こんなパターンが占めてきた朝日の紙面が平成30年元旦を機になんか雰囲気が変わってきた。
文在寅が慰安婦合意を破棄すると言った。
昔なら「安倍、友好第一に誠意を尽くせ」がパターンだったのに「韓国大統領、矛盾露呈」とまともに書く。
反日、反安倍、反原発では潰れると自覚したか。
気が抜けた紙面が続く。
その狂気が面白かったのに、なくなってみると寂しいものだ。
臨終とはそんなものかもしれない。