イングランド南西部ソールズベリーで4日、意識不明で見つかったロシアの元スパイと実娘の暗殺未遂事件、今夜はそれにまつわる、別の意味での危惧について。
現代ハイテクが幅をきかせるなか、プライバシー保護の観点から(パパラッチならずとも)報道機関は もう少し報道の手法を考えてということを、当ブログでも何度か言ってきた。今回は、ネット上に掲載される(=UPされる)画像データの「無配慮な状況」について考えてみようと思う。無配慮なのはカメラで「撮る、撮らない」の判断もあるが、きょう提起したいのは「撮った場合の、掲載時の(画像の)精細度」の話である。
と言っても、イメージ沸かないだろう。今回この事件に関わることとなった、当事者「ふたりの女性」の画像を例にして、両者を比較・考察してみる──。
【1】殺害されかけた元・露スパイの娘、ユリア・スクリパリさんの場合
まず、彼女自身が(Facebook上に)UPしていたとされる、この1枚。画像はUPした時点で960ピクセル四方の精細度に二次加工されており、仮に100%大に伸ばして掲載すると、下のようになる。
この写真の掲載是非に関して(先に)結論から言うと、「全然OK」である。なぜなら彼女が自由意志でネットに上げたものであり、法的な建前を言えば「彼女に損害や不利益を与えるような掲載行為を、彼女に無断で犯すべきでない」とは言え実質、「どう勝手に扱われても委細、文句は申しません」とでも言うのでもない限り、淫らに、ネット上に自らの姿や生活ぶりを表わす画像をアップロードするものじゃない…からだ。
さらに言えば、この画像はリーズナブルなサイズにまで低画質化(=123万画素相当。ほぼ、チェキの印刷ドット数に同じ)されている上に、然るべき「美顔修正アプリ」で全面的に加工されている。掛け値なしの「よそ行き(フォーマル)」な画像、と断じて良いだろう。事実、ユリア嬢はこの画像を(SNS空間の一番目立つ"看板"である)プロフィール画像に設定していた。
では、そのFacebookに最近UPされていた次の1枚は どうだろうか?
この画像も報道サイトで目にしたかたが多いのではないだろうか。おそらく(オリジナル記録画像から)無劣化で、300万画素(iPad他のタブレットPCの画面解像度や平均的なドライブレコーダーの記録画素に相当)レベルで掲載されていた。同じく、100%比に伸ばして掲げ直すと下のような案配だ。
さすがに、きょうびのデジタル写真は(簡易カメラで撮っても そこそこ)精細度があり、ちょっとしたスナップでも「ここまで"寄れて"」しまう。美顔修正など一切なく、ここまで肌質に近接ズームされるのは(特に女性には)苦痛かもしれないが、それが昨今のフォト品質と言うものだ。個人的には「だからSNSに上げる写真は、必ず容量を大幅に削りなさい(=画質を下げなさい)」とはキツく言っておきたい。遠目のスナップだから大丈夫、なんて思ったら大間違いだ。
で、これ(この精細度の画像)が勝手に報道にタレ流されて良いのか?と言えば、自分的には「アウトの場合もある。セーフとしてもギリギリの許容レベル」と判定する。ただ、前述した通り当件に関しては(報道機関に自制を求めようと)写ってる本人がウェブに上げてしまっている。勝手に世界に流布されても「もともと、オリジナル画像が世界じゅうで閲覧できてたろうが」と言われれば、流用を拘束する論拠には乏しくなってしまう。
【2】被害者らに気づいた第一通報者、フレヤ・チャーチさんの場合
さて次に この人だ。被害者ふたりが座っていた現場のベンチ近くのフィットネス・ジムの従業員、チャーチさん。日本の報道映像では あまり映ってなかったかもしれないが、現地TVでは国営放送のBBCはじめ各局、「第一通報者」の彼女が証言するシーン(↓)※ が何度となく放映されていた…。
【※ 26分間弱のレポート動画中、1分58秒過ぎから】
現場近くに職場があるのだから、捜査の進行中も そばを通らざるを得ない。彼女は事件の翌朝も(現場に詰めていた)報道陣に呼び止められた。いくつかの質問を受け応じている最中、他の記者?が撮ったと思われる画像が次の1枚だ。
勝手に推測して申し訳ないが、フレヤ嬢は(出勤時にも)取材に捕まると思ってたか?はともかく、朝1番なワケだから(上掲のインタビュー映像時点よりは)身なりも化粧も決まっている。だから勝手に撮られても(ある程度は)自衛ができてる状態での「撮られちゃった被害」ではあったと言えるかもしれない。
が、彼女が気の毒なのは、余りに撮った記者も無配慮な人間であったことだ。この画像は報道ユースであったにも関わらず「無劣化な状態で(ネット上に)漏出」してしまった。その精細度、3680×5520ピクセル。つまり2030万画素、と言えばコンパクトデジカメでも高級機(希小価3~5万円)クラスの撮影画素数に当たる。こんなものを^^;無劣化でUPしたら、100%比で「どこまで寄って、覗き込めるのか」…… それはそれはオソロしいことになる【↓その一部切り取りが以下2点の画像】。
ンまあ^^;見ての通り、毛穴の1個1個、スウェットの微小な毛玉の1個1個までがキッチリ視認できる。わたし個人は このレベルの精細画像を確信込めて「ストーカー品質」と呼んでいる。フツーの概念なら、通りかかりに面識のない人を(こうやって)無断に撮って、それを本人に無許可でネットに流すのは「犯罪」だ。自分の毛穴の1個1個まで、勝手にネットに晒されて嬉しい人は そうそう居ない。ましてや!たまたま忌まわしい傷害事件を目撃し、まっ先に通報してあげた善良なる市民に対し、かくも通り魔もどきの卑劣な仕打ちはないと思う。
え? こうして大っぴらに流出画像を二次掲載した「おまえも同罪だ」、だって? いゃ仰る通りで否定はしませんけどw
千万単位の画素イメージが まんま公にされていいのは、そのことに当事者間の(契約行為を伴った)了解が取れている「スタジオでの商用グラビア」とか、趣味の写真家が(被写体の肖像権や所有者の諸権利侵害に抵触させない類いの)自分の"作品"を載せるとき…ぐらいなモノだ。
さらりと記してるが、現に!これだけのことすら守られていない一般個人のツイ写は多い。その1枚、(自分が撮ったからと言って)軽率にネットに晒していいのか、今一度 胸に手を当てて考えてもらう契機にでもなれば、と切に願うばかりだ。
最後に、だから罪滅ぼしにと言うワケでもないが、受難のフレヤ・チャーチ嬢が所属するジム『スナップ・フィットネス』ソールズベリー店 のウェブ・キャプチャを併せて載せておく。フランチャイズ元は米ミネソタ州に本拠を置き、すでにシンガポール、タイ、香港、フィリピン、インドネシア、マレーシアには進出している。生き残り競争と淘汰が続く日本のフィットネス業界にも、いずれは(ネームバリューを武器に)上陸を果たすのかも?しれないね。
なお、高精細グラビアの美肌補正等の現況については、こっちでも関連の話を載せてます。ご興味あれば どうぞ
PhotoShop(フォトショップ)過剰で破綻したファッション雑誌の表紙
現代ハイテクが幅をきかせるなか、プライバシー保護の観点から(パパラッチならずとも)報道機関は もう少し報道の手法を考えてということを、当ブログでも何度か言ってきた。今回は、ネット上に掲載される(=UPされる)画像データの「無配慮な状況」について考えてみようと思う。無配慮なのはカメラで「撮る、撮らない」の判断もあるが、きょう提起したいのは「撮った場合の、掲載時の(画像の)精細度」の話である。
と言っても、イメージ沸かないだろう。今回この事件に関わることとなった、当事者「ふたりの女性」の画像を例にして、両者を比較・考察してみる──。
【1】殺害されかけた元・露スパイの娘、ユリア・スクリパリさんの場合
まず、彼女自身が(Facebook上に)UPしていたとされる、この1枚。画像はUPした時点で960ピクセル四方の精細度に二次加工されており、仮に100%大に伸ばして掲載すると、下のようになる。
この写真の掲載是非に関して(先に)結論から言うと、「全然OK」である。なぜなら彼女が自由意志でネットに上げたものであり、法的な建前を言えば「彼女に損害や不利益を与えるような掲載行為を、彼女に無断で犯すべきでない」とは言え実質、「どう勝手に扱われても委細、文句は申しません」とでも言うのでもない限り、淫らに、ネット上に自らの姿や生活ぶりを表わす画像をアップロードするものじゃない…からだ。
さらに言えば、この画像はリーズナブルなサイズにまで低画質化(=123万画素相当。ほぼ、チェキの印刷ドット数に同じ)されている上に、然るべき「美顔修正アプリ」で全面的に加工されている。掛け値なしの「よそ行き(フォーマル)」な画像、と断じて良いだろう。事実、ユリア嬢はこの画像を(SNS空間の一番目立つ"看板"である)プロフィール画像に設定していた。
では、そのFacebookに最近UPされていた次の1枚は どうだろうか?
この画像も報道サイトで目にしたかたが多いのではないだろうか。おそらく(オリジナル記録画像から)無劣化で、300万画素(iPad他のタブレットPCの画面解像度や平均的なドライブレコーダーの記録画素に相当)レベルで掲載されていた。同じく、100%比に伸ばして掲げ直すと下のような案配だ。
さすがに、きょうびのデジタル写真は(簡易カメラで撮っても そこそこ)精細度があり、ちょっとしたスナップでも「ここまで"寄れて"」しまう。美顔修正など一切なく、ここまで肌質に近接ズームされるのは(特に女性には)苦痛かもしれないが、それが昨今のフォト品質と言うものだ。個人的には「だからSNSに上げる写真は、必ず容量を大幅に削りなさい(=画質を下げなさい)」とはキツく言っておきたい。遠目のスナップだから大丈夫、なんて思ったら大間違いだ。
で、これ(この精細度の画像)が勝手に報道にタレ流されて良いのか?と言えば、自分的には「アウトの場合もある。セーフとしてもギリギリの許容レベル」と判定する。ただ、前述した通り当件に関しては(報道機関に自制を求めようと)写ってる本人がウェブに上げてしまっている。勝手に世界に流布されても「もともと、オリジナル画像が世界じゅうで閲覧できてたろうが」と言われれば、流用を拘束する論拠には乏しくなってしまう。
【2】被害者らに気づいた第一通報者、フレヤ・チャーチさんの場合
さて次に この人だ。被害者ふたりが座っていた現場のベンチ近くのフィットネス・ジムの従業員、チャーチさん。日本の報道映像では あまり映ってなかったかもしれないが、現地TVでは国営放送のBBCはじめ各局、「第一通報者」の彼女が証言するシーン(↓)※ が何度となく放映されていた…。
【※ 26分間弱のレポート動画中、1分58秒過ぎから】
現場近くに職場があるのだから、捜査の進行中も そばを通らざるを得ない。彼女は事件の翌朝も(現場に詰めていた)報道陣に呼び止められた。いくつかの質問を受け応じている最中、他の記者?が撮ったと思われる画像が次の1枚だ。
勝手に推測して申し訳ないが、フレヤ嬢は(出勤時にも)取材に捕まると思ってたか?はともかく、朝1番なワケだから(上掲のインタビュー映像時点よりは)身なりも化粧も決まっている。だから勝手に撮られても(ある程度は)自衛ができてる状態での「撮られちゃった被害」ではあったと言えるかもしれない。
が、彼女が気の毒なのは、余りに撮った記者も無配慮な人間であったことだ。この画像は報道ユースであったにも関わらず「無劣化な状態で(ネット上に)漏出」してしまった。その精細度、3680×5520ピクセル。つまり2030万画素、と言えばコンパクトデジカメでも高級機(希小価3~5万円)クラスの撮影画素数に当たる。こんなものを^^;無劣化でUPしたら、100%比で「どこまで寄って、覗き込めるのか」…… それはそれはオソロしいことになる【↓その一部切り取りが以下2点の画像】。
ンまあ^^;見ての通り、毛穴の1個1個、スウェットの微小な毛玉の1個1個までがキッチリ視認できる。わたし個人は このレベルの精細画像を確信込めて「ストーカー品質」と呼んでいる。フツーの概念なら、通りかかりに面識のない人を(こうやって)無断に撮って、それを本人に無許可でネットに流すのは「犯罪」だ。自分の毛穴の1個1個まで、勝手にネットに晒されて嬉しい人は そうそう居ない。ましてや!たまたま忌まわしい傷害事件を目撃し、まっ先に通報してあげた善良なる市民に対し、かくも通り魔もどきの卑劣な仕打ちはないと思う。
え? こうして大っぴらに流出画像を二次掲載した「おまえも同罪だ」、だって? いゃ仰る通りで否定はしませんけどw
千万単位の画素イメージが まんま公にされていいのは、そのことに当事者間の(契約行為を伴った)了解が取れている「スタジオでの商用グラビア」とか、趣味の写真家が(被写体の肖像権や所有者の諸権利侵害に抵触させない類いの)自分の"作品"を載せるとき…ぐらいなモノだ。
さらりと記してるが、現に!これだけのことすら守られていない一般個人のツイ写は多い。その1枚、(自分が撮ったからと言って)軽率にネットに晒していいのか、今一度 胸に手を当てて考えてもらう契機にでもなれば、と切に願うばかりだ。
最後に、だから罪滅ぼしにと言うワケでもないが、受難のフレヤ・チャーチ嬢が所属するジム『スナップ・フィットネス』ソールズベリー店 のウェブ・キャプチャを併せて載せておく。フランチャイズ元は米ミネソタ州に本拠を置き、すでにシンガポール、タイ、香港、フィリピン、インドネシア、マレーシアには進出している。生き残り競争と淘汰が続く日本のフィットネス業界にも、いずれは(ネームバリューを武器に)上陸を果たすのかも?しれないね。
なお、高精細グラビアの美肌補正等の現況については、こっちでも関連の話を載せてます。ご興味あれば どうぞ
PhotoShop(フォトショップ)過剰で破綻したファッション雑誌の表紙