夏燕石段街暮色いま
伊香保に着いたの夕刻、石段街は小雨にけむっていた。
いちばん下から見上げる石段は、遥か烟った山の頂のその先まで続いているように見える。
石段は全部で365段あるという。
石段街の両側にはいろんなお店が軒を連ね、まったく飽きることがない。
創業400年を超える老舗温泉旅館「岸権旅館」が今宵のお宿。
岸権(きしごん)の古き構へや夕蛍
石段街に面した場所に「岸権旅館」の表玄関がある。
門柱は、雷に打たれて倒れた樹齢200年のけやきの大木。
それを利用した重厚な構えである。
岸権旅館門前にある足湯
伊香保の湯には鉄分が多く含まれている。
別称「黄金の湯」とよばれている名湯。
画像の足湯は「岸権旅館」が設置したものですが、誰でも無料で利用できます。
老若男女が次々と足を浸し、ほっこりとしてました。
射的屋の灯盆の月より明るくて
石段街の心和ませるスポットの一つが「射的屋」。
弓場と射的、スマートボールといった昔なつかしい遊具が揃っています。
射的10発が300円、スマートボール10発が400円。
伊香保下駄買ふや石段街の薄暑かな
伊香保といえば“下駄”が超有名。
「山白屋」で下駄を買えば、約300し種ある鼻緒から足に合わせて好みのものを付けてくれます。
店内には下駄のほかに昔懐かしい木の玩具も。
時間が経つのも忘れてしまうお店です。
随いてゆくだけがしあわせ芙美子の忌
( 林芙美子『浮雲』より)
林芙美子の小説『浮雲』のなかに、伊香保温泉が登場します。
ヒロイン幸田ゆき子が妻子のある中年男性 富岡と伊香保温泉に駆け落ちするのです。
成瀬巳喜男監督で映画化されましたが、日本映画の最高傑作といわれています。
ことに戦後まもない「伊香保温泉」のシーンが素晴らしかった。
。この場面はすべてセットで撮影されたそうです。
みやげ物にうまいもの無し
伊香保には「温泉まんじゅう」屋さんが30軒ばかりあるそうです。
なかでも「田中屋」の元祖温泉まんじゅうの美味しいこと。おススメです。
皮は口の中でとろけるような柔らかさ、餡も自家製であっさりした程よい甘さ。
一度たべたらクセになりそう。
静かで開放的な佇まいの人気の共同浴場「石段の湯」。
カランコロンと調子よく下駄の歯音を響かせながら外湯もオツなもの。
まさに温泉街という表現が本当に似つかわしい場所なのです。
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