おっちーの鉛筆カミカミ

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PLANET OF THE ANIMALS~動物の惑星~

2006年08月31日 03時27分54秒 | 文章塾
 第10回へちま亭文章塾の受賞者も発表され、ひとまず終了。
 それぞれの作品の作者も同時に発表され、ブログに作品を掲載するのも解禁。
 というわけで、僕が第10回文章塾に投稿した作品、「PLANET OF ANIMALS~動物の惑星~」をここで再発表いたします。

 このブログを訪れてくださった文章塾の塾生の皆さん、今日は1度見た内容の再発表でご免なさい。
 明日はまた新しい記事をアップします。お暇がありましたら是非どうぞ。



  『PLANET OF THE ANIMALS~動物の惑星~』


 三角乗りで目的地に急いだ。
 降り頻る雪が額に当たる。猫は寒さが苦手だ。
 今はこの世界のこの地方で一番暑い、「夏」の時期。
 しかし昼夜の気温差が激しく、この時期でも夜は極寒だ。
 天候が崩れると雪も降る。
 緑の木の葉に積もる雪。
「朝になれば溶けるニャ」
 それ迄に辿り着かねばならない。
「自分には、これ位の事しか出来ない」
 作戦が成功した時、それを本隊に伝える役目。
 猫は、ペダルを漕ぐ足を速めた。

 作戦は成功だった。
 敵陣に用水路から進入し、銃器庫を全て制圧する。
 潜入の際は、鰐や小河馬が活躍した。
 隙を突いて門を開け、仲間を誘導する。
 針鼠が見張りの経穴を刺し、眠らせる。
「殺めるのではなく、制するのだ。そして究極には和をもって、皆が自ずから制するのだ」
 ナマケモノ王のこの言葉に支えられた者は多い。
 やはり避けられなかった人間との闘いを、血生臭い「戦争」にはしたくなかった。
 あとは本隊を突入させ、人間達を捕えればよい。
 その後は、時間をかけて和を図ろう。

 夜が明けようとしていた。
 猫に弱い鼠でさえ、諜報活動という得意分野がある。
 自分には何があるのか。心は闇に包まれた。
「俺はお前が必要だ。それじゃ駄目か?」
 タイガー隊長に言われ、やっと心の雲が晴れた。
「自分は此処に居ていいんだ、皆と居ていいんだ」
 やっとそう思えた。
 朝日が差し込む。瞳が細くなる。
 解け出したシャーベットがキラキラ輝いていた。
 眼下の景色を望む高台の上。
 遠くを眺めた。陽の光、水と氷に反射した光が眩しい。
 火を焚き、狼煙を上げる準備をする。
 猫は潜入隊作戦成功の合図を確認した。
 人間達の住む街からは死角に陣取っている本隊に、シグナルを中継するのだ。
 送った。仲間達が走り出す姿が見えた気がした。
 皆に自分の姿は見えない。けれども役目を果たした。
 今日もまた暑くなりそうだ。
 猫は、無理して運んできた、動物の国の大きな旗を振った。
 自分は此処に居る。
 皆も其処に居る。
 それだけで満足だった。


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