修「まずい~っもう時間過ぎてるよ~~」
俺は走っていた。この雨の中。
遅刻しそうなのだ。授業に。
大学の授業は、さっき受けてきたところだ。
そうじゃなくて、俺がこれから受けるのは…
あれ? 道の向こうから自転車が走ってくる。
自転車に乗っているのは女の子だ。高校生だろうか、制服姿だ。彼女は傘をさしながら自転車をこいでいる。かなり乗りづらそうだ。
俺は足の速度を緩めた。
自転車は俺を避けようと、向かって少し右に進路を変える。その時、俺もその自転車を避けようとして右にに歩く方向を変えていた。思わず少し笑ってしまう。たまにあるよな、こういうこと。
それを受け、自転車はまた左に進む向きを変える。同時に俺も左の方に歩いていた。あらら。
そこで俺は少し大人になり、立ち停まることにした。自転車が俺の横を通り過ぎるまで動かないつもりだ。
自転車は右に方向転換した。このまま通り過ぎてくれるだろう。しかし、自転車はまた左に向きを変えた。おいおいおい。
俺は動こうかどうしようか迷っている。右に左にヒョコヒョコ体重移動をし続ける俺。それを見てやはり迷っているのか、自転車の前輪はフラフラ左右に揺れている。
自転車はすぐ近くまできている。早く、どっちかに進路を決めて通り過ぎてくれっ。
このままじゃほんとにぶつかるぞ。俺は止まってるんだから。それとも今、俺がどちらかによけるか?…わっ、こっちに来たっ。ふらふら、ふらふら。危ないっ!
俺はギリギリで右によけた。ふう…嘘だろっ、自転車こっち来た!ぶつかるっ!もう目の前、よけられない!ドッシャーン!
俺と自転車は本当にぶつかった。…マジかよ…
俺は痛みを感じながら尻餅をつく。自転車が上に乗り上げないように、身体を反射的に横にずらす。自転車は、今まで俺のいた場所―俺のすぐ横―で停まった。
ふー、轢かれるところだった。いや…本当にぶつかったんだが。
自転車に乗っている女の子「おっさんなにやってんだよ!」
へっ? 女の子が何か怒っている。
女の子「道の真ん中でフラフラフラフラ、痛かったじゃないか!」
いや、俺の方が痛かったんだが。走ってる自転車に生身でぶつかったんだぞ。倒れてるのは俺だ。
女の子「優柔不断な男!」
いや、初めて会った、しかも年上の男性に言う言葉じゃないな。
女の子「ばーか」
ひでーーーっ。そこまで言うかあ?
女の子「あーあ、ちょっち濡れちゃったよ…」
女の子がなんか呟いている。
そこまで言うなら俺も言ってやる、ああ言ってやる、お前こそ…
言いかけたとき、女の子は自転車に乗って早々に立ち去っていた。
バカやろーーーっ!!
俺は小雨の中、自転車の遠くなるうしろ姿に向かって心の中で叫んだ。
あーあ、全身が雨でベチョベチョだ。
さいわい濡れているだけで泥汚れはほとんどないようだが、早く建物の中に入って服を乾かさなきゃ。
雨は小降りになってきていた。俺は道路に転がっている自分の傘を拾い上げ、目的地に向かって歩き始めた。
…もう…今日は休もうかな…?
俺は走っていた。この雨の中。
遅刻しそうなのだ。授業に。
大学の授業は、さっき受けてきたところだ。
そうじゃなくて、俺がこれから受けるのは…
あれ? 道の向こうから自転車が走ってくる。
自転車に乗っているのは女の子だ。高校生だろうか、制服姿だ。彼女は傘をさしながら自転車をこいでいる。かなり乗りづらそうだ。
俺は足の速度を緩めた。
自転車は俺を避けようと、向かって少し右に進路を変える。その時、俺もその自転車を避けようとして右にに歩く方向を変えていた。思わず少し笑ってしまう。たまにあるよな、こういうこと。
それを受け、自転車はまた左に進む向きを変える。同時に俺も左の方に歩いていた。あらら。
そこで俺は少し大人になり、立ち停まることにした。自転車が俺の横を通り過ぎるまで動かないつもりだ。
自転車は右に方向転換した。このまま通り過ぎてくれるだろう。しかし、自転車はまた左に向きを変えた。おいおいおい。
俺は動こうかどうしようか迷っている。右に左にヒョコヒョコ体重移動をし続ける俺。それを見てやはり迷っているのか、自転車の前輪はフラフラ左右に揺れている。
自転車はすぐ近くまできている。早く、どっちかに進路を決めて通り過ぎてくれっ。
このままじゃほんとにぶつかるぞ。俺は止まってるんだから。それとも今、俺がどちらかによけるか?…わっ、こっちに来たっ。ふらふら、ふらふら。危ないっ!
俺はギリギリで右によけた。ふう…嘘だろっ、自転車こっち来た!ぶつかるっ!もう目の前、よけられない!ドッシャーン!
俺と自転車は本当にぶつかった。…マジかよ…
俺は痛みを感じながら尻餅をつく。自転車が上に乗り上げないように、身体を反射的に横にずらす。自転車は、今まで俺のいた場所―俺のすぐ横―で停まった。
ふー、轢かれるところだった。いや…本当にぶつかったんだが。
自転車に乗っている女の子「おっさんなにやってんだよ!」
へっ? 女の子が何か怒っている。
女の子「道の真ん中でフラフラフラフラ、痛かったじゃないか!」
いや、俺の方が痛かったんだが。走ってる自転車に生身でぶつかったんだぞ。倒れてるのは俺だ。
女の子「優柔不断な男!」
いや、初めて会った、しかも年上の男性に言う言葉じゃないな。
女の子「ばーか」
ひでーーーっ。そこまで言うかあ?
女の子「あーあ、ちょっち濡れちゃったよ…」
女の子がなんか呟いている。
そこまで言うなら俺も言ってやる、ああ言ってやる、お前こそ…
言いかけたとき、女の子は自転車に乗って早々に立ち去っていた。
バカやろーーーっ!!
俺は小雨の中、自転車の遠くなるうしろ姿に向かって心の中で叫んだ。
あーあ、全身が雨でベチョベチョだ。
さいわい濡れているだけで泥汚れはほとんどないようだが、早く建物の中に入って服を乾かさなきゃ。
雨は小降りになってきていた。俺は道路に転がっている自分の傘を拾い上げ、目的地に向かって歩き始めた。
…もう…今日は休もうかな…?