黄色い木の葉がしきつめられた地面の上を
ただひとり
軽い足どりで
歩いていた
ときどき
木々の間をぬうように
かけ抜けたりもしてみた
ふいに頭上を見上げると
緑の葉っぱがいくつも重なり合って
その光をさえぎっている
見上げたまま 一歩を踏み出すと
枝葉のスキ間がキラキラといろんなところに輝いて
そうして一筋の光が
彼のところまで まっすぐにつらぬいた
きっとみんなは、それを分かっている。
だからそれで、いいじゃないか。
本当は、難しいことなんて、誰でも言える。
清く・正しく・誠実に、
真面目にしてればそれでいいなんて、
きっと、ほんとは、甘えている。
ふと目を覚ますと
他には誰もいないことに気付いた
森の木も 鳥たちも
周りに仲間がいるのに
彼は何故か
たったひとりだった
それから彼は走り出した
もう気まぐれに歩くことはできなかった
次第に重くなる足にムチを打って
ひたすらに真っ直ぐ
走り続けた
あるときは空の星をたよりに
あるときは陽の光をたよりに
走り続けた
いつか一歩も足が動かなくなった
もう身体がどちらを向いてるのかもわからなかった
彼はその場に座って歌をうたい始めた
彼は何故か
その歌を知っていた
そして周りのけしきをみつめながら
自分のことを考えてみた
彼の見たもの 感じたもの
そのすべての意味を
考えてみた
しばらくすると
彼に声をかけてくるものがあった
(中略)
彼はそのときもう自分の意志で身体のどの部分を自由に動かすことも
できなくなっていた
彼は一本の木になっていた
鳥達は彼になっている果実をついばむ
子供たちは彼の幹を登り、枝に腰掛け遊んでいる
それで 特に嫌な気持ちになるということはなかった
むしろ時が経つにつれ
それがとても自然なことにさえ思えてきた
今度は十二年前に書いた詩が出てきました。
これも発表しておこっと。
なるべく原文のまま投稿します。「(中略)」も原文のままなんだよう。
ではでは。