おっちーの鉛筆カミカミ

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病棟の中の空気ってこんな感じ。

2008年03月09日 23時41分43秒 | 文章塾
 時は近未来。この世界とは違うパラレルワールドでのお話。

「うわ~暑い」
「寒いですう」
 地球上には極寒の地と灼熱の土地がある。そこで暮らす人々の苦労は計り知れない。
 そこで世界中の科学者が集まり、暑くもなく寒くもない…地球の気候をちょうどいいものにする研究が行われた。
 研究は難航を極めたが、十年後、何度もの失敗を経て、ついにその研究は実現化された。
「これで人々の悩みは大きく減ることだろう」

 その成功した研究の仕組みはこうだ。
 まず、地球を覆う大気圏の直下に、高濃度のガスを停滞させる。つまり、そのガスで地球の大気を覆うということだ。ビニルハウスの原理である。
 そして、全世界各地に点在させた基地の煙突から、大気に、ある成分の気体を大量に混入させる。もちろんその気体は、人体に無害なものである。
 研究に研究を重ねたその気体の効果はすさまじく、それが地球全体を包み込むことによって、地球全体は一定の温度に保たれ、風も吹かず、雨も降らなくなる。
 ただし、雨が降らなくなっては植物が生きられなくなってしまうので、水を降らせる人工の仕組みも考案しなくてはならなくなったが。
 研究はすべて成功したように思えた。

「なんかちょうどいい気候って、つまんないね」
「うん、気分がなえてくる」
「そんなこと言うんじゃありません。偉い学者さまたちが私たちのためにしてくださったことなのよ」
 しかし、事態は深刻だった。
 研究が具現化されてからまもなく、世界中の人々が、無気力無感動な精神状態におちいったのだ。
 仕事もしない、学ばない、子供もつくらない、何もしない。
 ついには食べることさえおっくうになり、病人が世界人口の大半を占めるまでになった。

「これはいけない」
 学者たちは新たな研究を始めた。
「地球に刺激を取り戻すのだ」
 結果研究は実現され、夏は最高気温五十度、冬は最低マイナス四十度という環境がつくられた。
 そして一般市民の声…

「いいかげんにしてくれよ!」



 この文章は、第二十二回「文章塾という踊り場」、お題「「極寒または猛暑、冬または夏」暑さ or 寒さを感じさせる、あるいはそれにまつわる作品」に投稿したものです。
 この文章に対する、文章塾塾生の皆さんからのコメント、それに対する僕の返信コメントはこちらから。

 ではでは。よろしくお願いします。