時は近未来。この世界とは違うパラレルワールドでのお話。
「うわ~暑い」
「寒いですう」
地球上には極寒の地と灼熱の土地がある。そこで暮らす人々の苦労は計り知れない。
そこで世界中の科学者が集まり、暑くもなく寒くもない…地球の気候をちょうどいいものにする研究が行われた。
研究は難航を極めたが、十年後、何度もの失敗を経て、ついにその研究は実現化された。
「これで人々の悩みは大きく減ることだろう」
その成功した研究の仕組みはこうだ。
まず、地球を覆う大気圏の直下に、高濃度のガスを停滞させる。つまり、そのガスで地球の大気を覆うということだ。ビニルハウスの原理である。
そして、全世界各地に点在させた基地の煙突から、大気に、ある成分の気体を大量に混入させる。もちろんその気体は、人体に無害なものである。
研究に研究を重ねたその気体の効果はすさまじく、それが地球全体を包み込むことによって、地球全体は一定の温度に保たれ、風も吹かず、雨も降らなくなる。
ただし、雨が降らなくなっては植物が生きられなくなってしまうので、水を降らせる人工の仕組みも考案しなくてはならなくなったが。
研究はすべて成功したように思えた。
「なんかちょうどいい気候って、つまんないね」
「うん、気分がなえてくる」
「そんなこと言うんじゃありません。偉い学者さまたちが私たちのためにしてくださったことなのよ」
しかし、事態は深刻だった。
研究が具現化されてからまもなく、世界中の人々が、無気力無感動な精神状態におちいったのだ。
仕事もしない、学ばない、子供もつくらない、何もしない。
ついには食べることさえおっくうになり、病人が世界人口の大半を占めるまでになった。
「これはいけない」
学者たちは新たな研究を始めた。
「地球に刺激を取り戻すのだ」
結果研究は実現され、夏は最高気温五十度、冬は最低マイナス四十度という環境がつくられた。
そして一般市民の声…
「いいかげんにしてくれよ!」
この文章は、第二十二回「文章塾という踊り場」、お題「「極寒または猛暑、冬または夏」暑さ or 寒さを感じさせる、あるいはそれにまつわる作品」に投稿したものです。
この文章に対する、文章塾塾生の皆さんからのコメント、それに対する僕の返信コメントはこちらから。
ではでは。よろしくお願いします。
「うわ~暑い」
「寒いですう」
地球上には極寒の地と灼熱の土地がある。そこで暮らす人々の苦労は計り知れない。
そこで世界中の科学者が集まり、暑くもなく寒くもない…地球の気候をちょうどいいものにする研究が行われた。
研究は難航を極めたが、十年後、何度もの失敗を経て、ついにその研究は実現化された。
「これで人々の悩みは大きく減ることだろう」
その成功した研究の仕組みはこうだ。
まず、地球を覆う大気圏の直下に、高濃度のガスを停滞させる。つまり、そのガスで地球の大気を覆うということだ。ビニルハウスの原理である。
そして、全世界各地に点在させた基地の煙突から、大気に、ある成分の気体を大量に混入させる。もちろんその気体は、人体に無害なものである。
研究に研究を重ねたその気体の効果はすさまじく、それが地球全体を包み込むことによって、地球全体は一定の温度に保たれ、風も吹かず、雨も降らなくなる。
ただし、雨が降らなくなっては植物が生きられなくなってしまうので、水を降らせる人工の仕組みも考案しなくてはならなくなったが。
研究はすべて成功したように思えた。
「なんかちょうどいい気候って、つまんないね」
「うん、気分がなえてくる」
「そんなこと言うんじゃありません。偉い学者さまたちが私たちのためにしてくださったことなのよ」
しかし、事態は深刻だった。
研究が具現化されてからまもなく、世界中の人々が、無気力無感動な精神状態におちいったのだ。
仕事もしない、学ばない、子供もつくらない、何もしない。
ついには食べることさえおっくうになり、病人が世界人口の大半を占めるまでになった。
「これはいけない」
学者たちは新たな研究を始めた。
「地球に刺激を取り戻すのだ」
結果研究は実現され、夏は最高気温五十度、冬は最低マイナス四十度という環境がつくられた。
そして一般市民の声…
「いいかげんにしてくれよ!」
この文章は、第二十二回「文章塾という踊り場」、お題「「極寒または猛暑、冬または夏」暑さ or 寒さを感じさせる、あるいはそれにまつわる作品」に投稿したものです。
この文章に対する、文章塾塾生の皆さんからのコメント、それに対する僕の返信コメントはこちらから。
ではでは。よろしくお願いします。