下心がまったく無かったワケじゃない。
僕は彼女を招き寄せ、手をとってテニスの素振りを教えようとした。
だって全くなっていなかったから。
最終手段だったんだ。うん。
彼女に触れようとした丁度その瞬間、いきなりヒゲ面の男が現れて、僕の事を睨みつけた。
僕はビクッとして、
「妹さん? 彼女さん?」
訊いた。そしたら、
「彼女」
そう言ってヒゲの男は僕に近付いてきた。
殴られる!
僕はそう思った。そしたら、
男は僕の頭の上に軽く手の平をのせた。
僕は頭をちょこっと下げて、その場を逃げ出した。
僕は今の出来事をどう感じていたのか、半泣きだった。