おっちーの鉛筆カミカミ

演劇モノづくり大好きおっちーのブログです
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ONE EYES(14)

2009年06月09日 08時47分59秒 | 小説『ONE EYES』

第4章 え?親友ってヤツ。(5)


「それ何なの?」
 慎平はみどりに訊ねたが、みどりは聞こえていないのか、返答しない。
 チェッ
 慎平は小さく舌打ちした。
「もう向こう戻ろうか」
 修が言うと、慎平は
「うん、それでいいよ」
 何とも微妙な返事を返す。

「あれーーーっ!? 動かない」
 隣の部屋からみどりの「悲鳴」が聞こえてきた。
「どうした?」
 慎平と修は教室の部屋に入る。
「これが固くって。動かないの」
「はっ?」
「何が固いって?」
 みどりは赤いCDラジカセと格闘していた。
 机の上にラジカセを置き、電源も繋いであるようだがラジカセから音は出ていない。
 みどりはラジカセのヴォリュームというか、チューナー?をいじっているようだった。
 結構力が入っている。
「そんな力入れたら、ツマミが折れちゃうよ、みどりちゃん」
 修が心配してみどりの元に歩み寄る。
 慎平も修の後に続く。
「これ? 袋の中身」
「えっ、袋?」
 みどりは現在必死であって、慎平の問の意味を解さない。
「まあいいや」
 ラジカセの置いてある机の上、ラジカセの傍らには、さっきの買い物袋が丁寧に畳んで置いてあった。
「何が動かないって?」
「だからこのツマミなのよ。固くって、普通スッスッ……って簡単に動くものでしょう?」
「あぁ選曲のツマミね。これが動かないの?」
「そう」
「貸して」
 慎平はみどりからポジションを受け渡して貰い、問題のツマミをいじり始めた。

 ……

「何だこりゃ!? 全く固まってて動かねえー」
「でしょう?」
「ほんとかよ」
 修は慎平からラジカセを奪い取っていじり始める。
「ロックのボタンとか有るんじゃなくて?」
「ああなるほど」
「それは思い付かなかった……けどラジカセだぞ、ウォークマンじゃなくて。ロックなんてあるのか?」

 …………

「だめだ、どうにもならない」
 長い事悪戦苦闘した、修もお手上げの様子。
「初期不良ってやつじゃないですか? 買った店に持って行ったらどうでしょう」
 今まで黙って事の成り行きを見守っていた、この絵画教室最年長、皆神祐樹が初めて発言をした。
「ええーーっ めんどくさいなあ」
 みどりはウンザリ、といった表情。
「こんなん客に売るなよなあ、修」
「まあねえ……でもこういう事もあるよ」
「まあそうだけどさあ……」

 その時急に、水原将が横から入ってきて、ラジカセの電源ボタンを入れた。ラジカセのスピーカーから、音楽が流れ始めた。
「音なるじゃないか」
 その時のラジカセは、FMラジオのモードであった。

   *  *  *

 一応母の近況を伝えておきます。
 今のところ小康状態です。
 医師の話では、「いいデータもあり、悪いデータもある」とのこと。
 看護師は「集中治療室に最初入ってきた時に比べたら、大分良くなっています」とおっしゃっていました。
 どちらにしろ、予断は許さない状況。
 僕はひたすら母の傍で、祈ります。
 そして元気付けます。
 おっしょさんにも、迷惑だと思いましたが話を聞いて頂きました。
 とても参考になる事が聞けました。
 有り難いです。
 僕は1人ではありません。
 母も1人で戦ってるんじゃありません。そう信じたい。
 だから、もう一度笑って一緒の場所に居たいです。