竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
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びいと啼く尻声悲し夜の鹿 (松尾芭蕉)

2018-08-30 | 


びいと啼く尻声悲し夜の鹿 (松尾芭蕉)

鹿 (秋の季語:動物)

     牡鹿(おじか) 牝鹿(めじか) 鹿の妻 妻恋ふ鹿
     鹿鳴く(鹿啼く) 鹿の声 鹿の音(しかのね) 鹿笛


季語の意味・季語の解説
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 鹿は日本列島の山中に広く分布する野生の草食動物である。
 優しい性格で人に懐きやすいため、奈良公園、宮島、金華山などでは餌を持つ観光客を慕って群がってくる。

 鹿が秋の季語とされるのは、牡鹿(おじか)が牝鹿(めじか)を恋うてもの悲しい声をあげる交尾の時期が秋だからである。

 なお、交尾の後、妊娠した鹿は孕鹿(はらみじか)と呼ばれ、こちらは春の季語となる。
 また、その後生まれた鹿の子(かのこ・しかのこ)は夏の季語となる。
 秋の季語のつもりで子鹿という語を用いると、季節感のちぐはぐな俳句になるので気をつけたい。

季語の用い方・俳句の作り方のポイント
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 日本語には「かなし(愛し・哀し・悲し)」という言葉があります。

 かわいい、心にしみていとしい、心がいたむ、せつない、かわいそうである、気の毒である等の意味を含む言葉です。
 今風にいえば、「胸がキュンとなる感じ」でしょうか…

 秋の妻恋う鹿の鳴き声は、まさに「かなし」を感じさせ、古くから日本人の心を捉えてきました。
 俳句にも、鹿の声を詠んだものがたくさんあります。

  びいと啼く尻声悲し夜の鹿 (松尾芭蕉)

  明星や尾上に消ゆる鹿の声 (菅沼曲翠)

  庵室のはやく古びて鹿の声 (早野巴人)

  鹿聞いて行燈急にかすかなり (溝口素丸)
      行燈=あんどん。

  温泉の山や肌骨に徹る鹿の声 (佐藤晩得)
      温泉=「ゆ」と読む。 肌骨=きこつ。

  鹿老いて妻なしと啼く夜もあらん (井上士朗)

  鹿啼くや沼の底より泡一つ (凡茶)

 また、温和な性格の鹿は、見る者の心を優しくします。
 鹿を季語に俳句を読むときは、優しさに満ちた作品に仕上げたいものです。

  蜻蛉に片角かして寝鹿かな (小林一茶)

  傘のまま鹿撫でゐたり雨後の寺 (凡茶)


参照 http://haiku-kigo.com/category/7337848-1.html
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