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蜂に蜜我等にむすび林檎咲く 矢島渚男
一読してリンゴ狩かなとも思ったが
花蜜を吸う蜂が飛んでいるのだから春の句
まして蜂は春の季語ときづいた
リンゴ農家の農作業の景とも思うが
やはり「むすに」は作者の手にあるのだろうと思う
蜂に蜜 人にむすび この対象の中に作者がいてこそであろう
(小林たけし)
花蜜を吸う蜂が飛んでいるのだから春の句
まして蜂は春の季語ときづいた
リンゴ農家の農作業の景とも思うが
やはり「むすに」は作者の手にあるのだろうと思う
蜂に蜜 人にむすび この対象の中に作者がいてこそであろう
(小林たけし)
林檎の花を見たことがない。正確に言えば、見たはずなのだが記憶にない。敗戦後、林檎がまだ貴重品だったころ、山口県で百姓をはじめた父が、京都の「タキイ種苗」あたりから取り寄せたのだろう。庭に、林檎の種を何粒か蒔いた。一本だけが小学生の背丈ほどにひょろひょろっと生長し、小さな実を一つだけつけた。だから、当然花は咲いたのであり、私が見なかったはずはない。秋になって、一つの林檎を家族四人で分けて食べた。ひどく固くて酸っぱかった記憶のほうはある。後年、林檎の研究家にこの話をしたら、当時としては林檎生産の南限記録だろうと言われた。新聞社に知らせれば、絶対に記事になったはずだとも……。作者は信州の人。この春もまた、可憐な林檎の花盛りを堪能されていることだろう。(清水哲男)
【蜂】 はち
◇「蜜蜂」 ◇「働蜂」 ◇「雀蜂」 ◇「花蜂」 ◇「足長蜂」 ◇「熊蜂」
雌は産卵管を毒針としても使う。完全変態をし、幼虫は多く「うじ」状。多くの場合、女王蜂、雄蜂、働蜂で整然とした社会生活を営む。熊蜂。蜜蜂。蜂の巣。
例句 作者
狂ひても母乳は白し蜂光る 平畑静塔
巣の蜂は耳順経たるや未だしや 板垣鋭太郎
足長蜂戦あるかに川上へ 菅原鬨也
狂ひても母乳は白し蜂光る 平畑静塔
巣の蜂は耳順経たるや未だしや 板垣鋭太郎
足長蜂戦あるかに川上へ 菅原鬨也