武内 ヒロク二

このブログは、武内ヒロクニの絵の紹介や、家での出来事を妻が語ります。
日々、徒然。

カタカタ、トコトコ(作品紹介725)と 止められないこと

2023-03-17 00:35:23 | Weblog

絵に日付がしっかりと書き込まれており、2003年1月12日に出来上がった作品だ。

足がついている“子供のおもちゃ”を連想させる。

大きい2つの円を見ていると、可愛いロボットのような気もしてくる。

こういう発想はどこから出てくるのか?

やっぱり、武内の絵は個性的だと改めて思う。

それでいて、幻想的な雰囲気。

絵を見ているうちに、良人の計り知れない“才”について考えてみました。

空中に浮かぶ丸い顔。

この表情をじっと見ていると、可笑し味が湧いてきます。

特に、右側。

この表現は、他の追随を許さない表現だと。

もっと美術的にいうならば、武内はシュールレアリストなんだと思います。

 

 

春になってきた。

陽射しが暖かい。

庭のムスカリやヒヤシンスも芽を伸ばし、もうすぐ花が咲く。

春の到来に期待をよせ、吹く風に身をゆだねる。

「いい気持ち。」と思って家に入ると、

ヒロクニさんは、「俺、絵を止めようかな、て思うんよ。どう思う?」と。

時々こういうことを言い出すことは、ちょくちょくあり、わたしはいつも同じことを言う。

「どう思うもなにもないわよ。

 まず、3日ぐらい絵を描かない日を送ってからにしてくれる。

 止めれるかどうかが問題でしょ。

 考えるのはそれから。

 でもさ、止めたら何をするの?

 家事でもするの?」

家事の部分で、顔が怒りがちになる。

プイッと顔を横に向け、アトリエに消える。

そして、止める話は立ち消えに。

これがいつものパターン。

今回は、ちょっと付け足しを思いついた。

「だけどさ、あなたって普通は晩年になったら、絵のスタイルが固定して、

 そのバリエーションで同じような絵を描くようになる人が多いのに、

 未だに、新しいスタイルの絵が出てくるじゃない。

 これって、凄いことだと思わない?

 絵を止めるのは、好きにしたらいいと思うけど。」

わたしの回答に新たなセリフが加わった。

言いながら、わたしの言うこともバージョンアップしたな、と感じていました。

ヒロクニさんは、「確かに・・・。」と考える人になってアトリエに消えた。

しばらくしたら、アトリエから紙に鉛筆を走らす音が激しく聞こえてきて、

わたしは、「しかし、絵を描く行為って、こんなに音がするものなのか?」と思いながら、

一件落着と手のひらに拳を一つ打った。

絵を止めるというが、それは出来ないと思っているのです。

絶対に無理と判断している。

入院している時も制作していたからね・・・。大部屋で。

以前、疲れていると言うので、

「今日は休みにして、1日ぐらい絵を描かない日があってもいいのじゃない?」と休むのを勧めたことがある。

そうすると、「卵焼き焼いて。」とか、「肩揉んで。」とか、今日の晩御飯は何?」とか、

部屋の様子を見て、「これは何でここに置いているの?」とか、手当たり次第に何で?と聞いてくる。

普段、絵を描いていると読書も碌に出来ないとぼやいているので、

「こういう時こそ読書はしないんですか?」と勧めてみた。

返ってきた返事は、「急にしようと思っても、無理だ。読みたくない。」

何だか駄々っ子のようになっていて、子供が母親にまとわりついている状態なんです。

主婦業というのは、小さい用事が重なっていたり、

たいしたことはないのだけれどやっておいた方が、

後々混乱しないための予防線のようなことがあるので、

やらないとすっきりしない気分に陥る種類のものもある。

それが全然はかどらない。

あまり相手にしてはいけないと、心を鬼にし、

言っていることが聞こえてきても、“聞こえてないフリ”をして、“用事に集中しているフリ“をする。

そうしていると、わたしの周りにヒロクニさんの気配がしなくなった。

そう、アトリエでいつものように絵を描いていました。

絵を描かない宣言は、一日持たないのです。

今回の止めようかな?と言った後、アトリエへ行ってから、夕食前まで制作です。

夕食は疲れてあまり食べられないらしく、

「残しているのは、おいて置いて・・・。後で食べるから・・・。

 ちょっと疲れすぎて喉に通らないから。」と言い、「お茶いれて。」と。

食器棚にもたれながら、あえいでいます。

こんな調子なのに、どうして絵を止めれると思うのか?

わたしは不思議なのです。

 

 

庭では、やっと種を蒔いたビオラが。

↑見やすいように写真を大きくしました。

わたしの気に入りの「クラッシクなビオラ」と名付けた重い黄色のビオラが2苗開花。

今年は、今までになかったレモンイエローの黄色いビオラが登場しました。

ブルーぽい紫。黒っぽい紫、白、ピンク、同じものがない2色展開のビオラ。

まだまだ、つぼみが一杯。

↑この写真は夕方にとったもの。

昼間はつぼみだったのに、夕方になったら咲いていました。

この黄色いヒヤシンスは植えっぱなしにしているものが、毎年咲いてくれるのです。

↑こちらも夕方にとったもの。

こんもり生い茂った野生のビオラ。

ビオラのやや左手前には、随分前に植えつけたヒヤシンスのつぼみが。

ビオラの後ろには、ジャーマンアイリスの尖った葉が大きくなろうとしています。

春は、やっぱりいいな!

 

時々、「絵を止める。」って言うのです。

絵を描く行為を止めることを、一日も我慢できないのに・・・。

この道、70年。

こういうふうに一筋に続けてきた人だからこそ、思うことなのかもしれません。

今日も最後まで、お読みくださりありがとうございます。

 

コメント (2)
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