武内 ヒロク二

このブログは、武内ヒロクニの絵の紹介や、家での出来事を妻が語ります。
日々、徒然。

花を撒く(色鉛筆作品紹介763)と ケルト人の文化と歴史

2024-02-04 15:50:02 | Weblog

夜の街か?

赤と黒の色使いが印象的な絵。

花を撒き散らしているのは骸骨か?宇宙人か?

どことなく“ワルイ奴ら“のように思える・・・。

わたし的には、不良少女といたずら好きな妖怪が徘徊する街といったところ。

退廃ムードもあって、世紀末的な絵かもしれない。

今朝、額に入っていたこの絵を外しながら、

「この絵をブログに使おうと思って」と言うと、

「ああ、この絵をね。いいと思うよ」と言い、

「この絵は夜、このライトで照らして見ているよ。

 暗がりに、この絵が浮かんでいるといいんだよ。」と説明されました。

その絵の前に小さなライトがありました。

その様子を思い浮かべ、「確かに暗がりに映えるかもしれない」と思ったのでした。

仕事部屋で寝るのが復活して、横になりながら見ているようです。

 

 

その仕事部屋&台所にて本を読んでいると、

制作の手を休め、「そんな本読んで、どうするの?」と聞いてくる。

その本は、「ケルト人の歴史と文化」というタイトル。

この本になります。

この「どうする?」という質問は、「いったいどういうことよ」と思いながら、

答えた。

「ケルト人というのを初めて知ったのは、ローマの歴史からなんだけど、

 ブリテン島にローマ軍が遠征に出た時に、その地にいたのがケルト人で、

 戦車を自在に操って、獰猛な戦い方をするという民族として登場したの。

 それに最近、イギリスものをよく読むでしょ。

 アーサー王物語も面白く読んで、これはケルトの伝承をまとめたものらしくて、

 こういう物語の土台を知りたくて読んでいるの。

 たまたま図書館で見つけたというのもあるけど」と。

わたしは分かり易く言ったつもりなのですが、ヒロクニさんにとっては、まるで関心がない分野。

それから、いろいろな質問を受けるのですが、

ケルト人のいた年代が現代に近く思っていたりして、話がかみ合わない。

わたしも読んでも忘却の彼方にならないよう簡単なメモを取りながら読んでいたのですが、

「そんなメモ、とってもしょうがないじゃない」と言われた時は、

読書を妨害されている気がした。

この時間、ヒロクニさんは子供みたいで、単にかまって欲しかったと気づいたのは静かになってから。

急に寝ていました。

(疲れていたのかも。子供がぐずるような感じもする・・・。)

ケルト人というのは、古代(紀元前7000年)からいた部族で遊牧民的なところもあり、

分散していった民族です。

ヨーロッパはブルターニュ地方、ブリテン島、アイルランドに文化が残っています。

ケルト人は、多神教で植物や動物、石や木にも神を見出す信仰があったということから、

妖精がイギリスに登場するのは、こういうことかもしれないと思いを巡らせる。

わたしが注目している物語に関することでいえば、

ケルトの国では、職業詩人(語り手)集団を手厚く保護し、

身分も貴族としての待遇を受けていたという事と、

この職種につくには、神話や英雄物語を350以上記憶し暗誦できなければ資格がない。

それには、12年の歳月をかけたと言うことです。

ケルト人は、文字を持たなかったので、キリスト教が文字をもたらすまで、

口承で文学を高めていったと。

わたしが好きになった「アーサー王物語」は、

ケルトの伝承をまとめた人物が何人かいて、普及したものをわたし達は読んでいるようだ。

わたしは、はっきりとした作者というのがいると思っていたからね。

あの有名な石のサークル“ストーン・ヘンジ”も石を信仰するケルト人の作ったものだと知ると、

不思議な感じがした。

中世の柄の刺繡をしていた時に、どんぐりの木の図案があって気にいってしたりしていましたが、

イギリスの図案だったのです。

ケルト人の植物信仰で重要な木は、

オーク(カシワ、ナラ、カシの木)やヤドリギ、イチイ、ハシバミ(ヘーゼルナッツ)。

この本を読んでから、象徴的な図案だったんだと。

今取り上げた木は、イギリスの小説にもよく登場するなぁ~と改めて思うのでした。

そして、特に面白いと思ったのは、この箇所。

■抜粋

『異界と現実世界(この世)のあいだにはどこかに何らかの通路があり、

 場所と時間によって、その通路が開かれ往来が可能となる。

 つまり、異界から現実世界へ入ってくることができる一方、

 現実世界から異界へ入っていく「相互乗り入れ」が出来る状態になるとされる。

 通路が開かれた時、異界から死者の霊、悪鬼、魔物、変身した者などが現実を訪れてきたり、

 逆に現世にいるものが異界へ出かけていくことがあると信じられた。~略~

 異界があるとされた場所は、

 地面の下(洞穴の奥、井戸の底、泉、沼、湖の下)

 山の上(丘の頂上、林や森の奥、渓谷など)

 海の下や上、島。また暗い所、奥まった所、危険な所、謎めいた所』

こういう世界感を読み、現在読まれている物語にもこういう要素がふんだんにある。

世界感が物語そのものだ。

身近な所では、「葬送のフリーレン」の漫画も魔物や魔法が出てくる。

ケルト社会には、「ドルイド」という賢者もいて、それが魔法使いの要素になっているようです。

知恵者なのですが、「アーサー王物語」では、“マーリン”という魔法使いが登場します。

フクロウにも変身し、このマーリンの助けによってアーサー王は苦難を克服する。

もし、マーリンが登場しなかったら、物語は味気なくなると思う。

手に汗にぎり、ハラハラする要素が薄められてしまいそうで。

そういう意味においても、フィクションが力を持つ。

物語好きなケルト人は、物語を作る資質も持っていたと思うが、それを高める情熱を持っていたと思うのです。

そういう遺産があって、今の読み物にもつながっている。

そう思うと、文化というのは練り上げられていくものなのだと思いました。

ローマ人は、ケルト人のことを「野蛮だ」とか、「気が短く喧嘩っ早い。」「好戦的」と言っていたらしいが、

そんなことばかりではないように思います。

この度の読書、イギリスの土地のことを少し知ったような気持ちになりました。

丘砦(ヒル・フォート)のこともよく分かった。

風景描写でよく出てくるのですが、いま1つ飲み込めてなかった。

古代ケルトの首長の生活の場、遺跡のことでした。

 

今日は、どれほどの人がケルト人に関心を持っているのか?と思うと、

ポピュラーな話題ではないなぁ・・・と思いました。

それでも、あえて読んで下さった人がいるとしたら、本当にありがとうございます。

最近、イギリスものをよく読むようになってしまって・・。

ヒロクニさんには、「歴史はあんまり興味ないんだよ」と言われてしまいました。

 

 

最後にケルト人が残した「ケルズの書」から

円環と文様の独特の美を追求したものです。

ロマンを感じます。