この絵は、アトリエに貼られていました。
それを見つけた時は、「この絵は素晴らしいですね。」と言われず、
「武内さんらしい絵ですね。」と言われる部類かな?と思いました。
この絵はインパクトはあるので、
つい目がいってしまう絵で、その度に眺めていました。
電球みたいに見える顔の部分はピンクのクレヨンで描かれていて、
それが目立つのです。
ブログを書く前に、この絵のことを聞いてみようと思い立ち、
「この絵について、何か言って下さい。作者として、何か一言ないですか?」と聞いた。
少し笑いながら、「見る方が、好きにみたらいい。」と言う。
はぐらかされているような感じでもあるので、
「それはそれなんだけど、作者としてこの絵について一言でもいいから言って欲しいのよ。」と、食い下がる。
そうしたら、「この絵は1分ぐらいで出来たからねぇ。」と言い、
「こういう絵は、描いている内に派生する絵で、この絵以外にもたくさん出来てくるんだ。
例えば、今描いている絵があるだろ、(目の前の絵を描く振りをしながら)
ちょっと行き詰った場合、この小さな紙をこっちへ持ってきて、(横に重ねられている別のメモを取り出す)
これの続き・・・・、続きというわけでもないか・・、
このメモに色を擦り付けて見ると、勝手に手が動いて出来てくることがあるんだ。
失敗というか、全然ダメなものもあるけどねぇ。
この絵は、そういうふうにして出来上がった絵で、
顔の表情がキュートに仕上がっているから、壁に貼っている。
この絵はそれ以外なにものでもないよ。」と。
思うような答えは返ってこなくて、過程の話が詳しく語られたのでした。
「好きに見たらいい。」と言われましたので、
わたしの主観的見方を言いますと、
“窓辺にある卓上照明“のように思いながら見ていました。
コンセントが伸びていて、スイッチらしきものまであるという具合に。
窓の外は、嵐で、怪しげな屋敷の一角。
錬金術でもやっていそうな人物の住まう部屋。
怪しさが全開の絵と思っていました。
鉛筆とクレヨンで描かれています。
先ほどの話からクレヨンで描かれた絵は、
わりと短時間で仕上げているのかもしれないと思いました。
1分というのは、本当?
大げさに言っている感があります。
2月というのに、暖かい日がありました。
その日は、ヒロクニさんが散歩すると言うので、
このチャンスを逃してはいけないと思い、家の用事は後回しにして散歩に付き合うことにしたのです。
家の近くにある坂を登るというのでついていきました。
すると、小さな公園があり、滑り台やブランコがあり、その近くに保育園があったのでした。
さらに上に行く階段があり、上ると高台のようになっていて、
葉の落ちきった木と鉄棒だけがポツンとあり、
座る所もなく、私達は突っ立っていた。
あまり手入れをされていないようで、地面にはあちこち石が転がっていて、
頂上の公園は、子供は危ないからいくなという注意をされているに違いない。
周りを見渡すと、近くに山が迫り、下には民家と畑があり、所々に葉ものを植えている様子が見て取れる。
頂上は殺風景で、寂しさを感じる公園だ。
山の方を見ると、山の中腹に寺が立っているのが見えたり、
禿山になっている箇所が、目の前にせまって見える。
このせまり方が神戸だな、と思う。
この日は、いい天気で春の陽気すら感じる日だった。
そのせいかヒロクニさんは、薄紫色のセーターに黒のジャケットといういでたちで、すっと立っていた。
背筋がまっすぐ伸びて、立っている姿は一本の棒のようだ。
家で見る姿は、よれたトレーナに股引姿で、ぶつくさ言う口というのが固定されているので、
「この人、外にいる姿の方がいいんだ。意外と見栄えするな。」と思い、
いつもとは違うヒロクニさんを見たという感じ。
御歳86才、今年で87歳だ。
個人差はあれ、86歳でこの感じはいいのかもしれないと思い、
やっぱり普通の人とは、エネルギーが違うのかもしれない等と思う。
家にいても絵を描いている時も、椅子に背もたれはなく丸椅子で前かがみになって制作。
そして、足を踏ん張っているらしい。
今でも長時間制作だ。
以前より、仮眠を取るとぐっすり寝るけれど・・・。
歩くことを生活に組み込んでくれたら、きっとパワーアップするに違いない。
やはり、もっと歩かせないといけない・・・と決意した。
わたしの周りで、1日に1万5千歩~2万歩を歩くという目標が掲げられている。
わたしもよく歩いたと思っても1日8千歩止まりなのだ。
大体、6千歩がいいところ。
そう、ヒロクニさんが現役でいる為には“歩くこと”だ。
まず、意志を持ってもらわなくてはいけない。
そこで、自ら買い物へ行くとあちこちと回り、歩数を増やす。
帰って来てからは、「歩くと、やっぱりいいわね。」と言い、
「わたしも年齢より動けるようにしておかないと思ってね、
身体は動かしておかないと錆びると思うわ。」と言う。
こうやって、お前も歩くのだという啓蒙をしているのです。
時々、そうかもしれないと思うのか、
「春になったら、街に出るから一緒に行こう。」と言うことが増え、
「春になったら、小旅行しよう。」と。
そして、時々玄関がガラッと開く音がする。
股引姿で、家の近くを歩いていたようです。
歩くことを気にしているようで、効いてる~と思いクスッと笑ってしまいました。
お年寄りは気遣ってあげないといけないとは思いますが、
我家の場合は、老体に鞭打つ、負荷をかけ、元気を維持するという論理に落ち着きそうです。
後は、実行するのみ!
ここをヒロク二さんがクリアするのが難しそうだ。
口ばかり動く人だからね。
突然の暖かい日が訪れ春が待ち遠しくなりました。
以前の住まいで植えていた花、2013年の庭の写真から。
↑ヒヤシンスの球根が大きかった頃の庭。
手前は、プリムラとカルーナをあわせて石で囲ったりして、
うっとりとしていたのを思い出します。
↑こちらは、亡きジルと桜草。
外が好きな猫でした。
友人の猫ちゃんの訃報を受けて、飼い主の心配をしていたので、
思い出したのでした。
かつての猫達を。
キタハマも可愛かった。
今日は、散歩から目標2万歩(どんな周りかは秘密)という出来そうにない話。
目指せ、2万歩ということで終わりたいと思います。
老人は、鞭打て!わたしにも言い聞かせることにします。
たいしたことない話題を長々と書きました。
最後までお読み下さった方、ありがとうございます。