遺す言葉

つぶやき日記

遺す言葉(502) 小説 希望(26) 他 感覚

2024-06-16 12:33:56 | 小説
            感覚(2024.5.13日作)


 
 学者 知識人達の長たらしい
 論文 解説文などより
 一般市民 生活者の それぞれの場に根差した
 心の底から生まれ出る 何気ない一言 短い言葉
 その言葉の中にこそ より深い
 真実が込められている
 現実に根差した言葉
 言葉の組み立て 理論等に囚われて 
 現実を見詰める眼差しを忘れるな 
 現実を生きる
 現実を生きる この行為を忘れるな
 新幹線の列車 あの列車の見事な鼻ずら(鼻先)
 ロングノーズ
 最終的仕上げ作業は
 技術者の掌の感触によって整えられるという
 人の持つ感覚
 感覚の伴わない言葉 行為は空虚だ
 本物とは言えない




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             希望(26)



 
 
 次第に数を増す警察の車を見て北川と幹部達は解散の指令を出した。
 警察との間にいざこざは起こらなかった。
 北川達は<ブラックキャッツ>の領域にまで踏み込んだ事で、走りは充分、成功したと気を良くしていた。
 地元新聞には翌朝、<暴走族 走り初め>と書かれた見出しの下、Vサインと共に得意満面の笑顔を見せている男達の写真と記事が掲載された。
 女将さんが修二の部屋を訪ねて来たのは四日の夜だった。
 修二が一日中、ゲームセンターや映画館などで過ごして午前零時過ぎに帰って鎧戸の鍵を開けようとすると、既に開けられていた。
 一瞬、泥棒に入られたのかと狼狽して急いで鎧戸を上げ、中へ入って店の中を見廻すと、別段、荒らされた様子もなかった。
 ホッとしたまま二階へ上がろうとすると、そこに女物の細いサンダルが脱ぎ捨てられてあるのが眼に入った。
 女将さんのサンダルだ、とすぐに察しが付いた。
 途端に嫌悪の気分に捉われた。
 何しに来やがったんだ !
  階段の下に立ったまま見上げて耳を澄まし、部屋の様子を窺った。
 物音は聞こえて来なかった。
 一体、何をしてやがるんだ !
 胸の中で呟き、そっと階段を登って行った。
 ドアの隙間から明かりが見えているのが分かった。
 物音は依然として聞こえて来なかった。
 ドアの前に立った時にも、中からは人の居る気配さえも伝わって来なかった。
 何をしてやがんだろう ?
 不審の思いだけが募った。
 そのまま、そっとドアを開けてみた。
 女将さんは部屋の真ん中に布団を持ち出して、その上に服を着たまま横になって眠っていた。
 黒いスカートが膝の上まで捲れ上がっていて、太ももが露わになっていた。
 一目で泥酔しているのが分かった。
 女将さんの生々しい、白い太ももが眼に入ると同時に普段、眼にしているヌード雑誌で見る女達の姿が重なって息苦しくなる程の欲望を覚えた。
 その思いを振り払ったのは、女将さんを通して浮かんで来るマスターの存在だった。
 マスターは修二に取っては唯一、信頼を寄せる人であり、尊敬する人であった。
 普段、マスターが口にする言葉の中に修二は、その静かな口調にも係わらず何処とは無い重厚さを感じ取っていて、その口調と共にマスターは仰ぎ見る存在になっていた。
 そのマスターへの冒涜など考える事さえ出来なかった。
 修二はただ茫然として、しどけなく寝入っている女将さんを見詰めて立っていた。
 マスターはどうしたんだろう ?
 花札にでも行ったんだろうか ?
 考えていても始まらなかった。漸く意を決して女将さんの肩に手を掛けると、
「女将さん、女将さん」
 と言って身体を揺すった。
 女将さんは一度では眼を醒まさなかった。
 二度、三度と揺すった。
 女将さんが眼を開けた。
 修二はその女将さんに強い不満の表情を見せて、
「困りますよ。俺」
 と言った。
 女将さんは修二を見たが、寝ぼけ眼の眼差しで状況がよく呑み込めないらしかった。暫く見詰めていてから、
「何 ? あんた修ちゃんじゃないの」
 と、もつれる様な口調で言った。
「そうですよ。俺、困りますよ」
 修二はまた言った。
「なんで、あんた、こんな所に居るの ?」
 女将さんは不思議そうな顔で言った。
「女将さんが、俺の布団の上で寝ちゃったんじゃないですか」
 修二は更に強い不満を顔にも言葉にも表して言った。
 女将さんはそれで漸く理解した様だった。周囲を見回して、
「ああ、わたし、酔っぱらって眠ちゃったんだわ」
 と言った。
 その眼差しは依然として朦朧としていた。
「困りますよ、俺」
 修二は再び、強い非難を込めて言った。
 その日、女将さんは近所の友達とカラオケバーで盛り上がり、はしごを重ねた末に、午後十一時過ぎに友達と別れて修二の部屋へ来たと言った。
 マスターはその日の午前十時過ぎに、飲食店連合会の新年会を兼ねた二泊三日のバス旅行で出掛けた。
 それで女将さんは、女は女同士で楽しみましょう、という事になって仲間達と共にカラオケバーで羽目を外す結果になったのだという。
 そんな、経緯を話しながらも女将さんはまだ酔いが醒め切らないらしく、絶えず身体を前後に揺すっていた。それからまた直ぐに、起きている事も辛そうに布団の上に身体を横たえると腕枕で寝入ってしまった。
 修二はその女将さんを見詰めながら、処置なし、と言った思いで、
「このクソ ババァ !」
 と呟くより仕方が無かった。
 一日中、火の気の無かった部屋の中は冷え切っていた。
 その寒さに気付いてストーブの傍へ行き火を点けた。
 熱気が伝わって来るとその前で膝を抱えて座り込み、冷え切った身体を暖めた。
 何時の間にか修二自身も暖気の中で眠っていた。
 気が付いた時には横になった身体に毛布が掛かっていた。
 女将さんが背中から修二の身体を抱く様にして同じ毛布の中で眠っていた。
 修二は驚いて毛布を跳ね除け、身体を起こした。
 女将さんは腕を離されて眼を覚ました。
 すぐに修二の様子に気付いて、
「駄目 !」
 と言って、また腕を絡み付けて来た。
 女将さんの身体の重みで修二は重心を失い後ろに倒れた。
 女将さんは更に強くそんな修二の身体に腕を巻き付け身体を重ねて来た。
 右手が修二の股間を探っていた。
 
 女将さんと修二は終日、部屋に籠っていた。
 店の鎧戸を開ける事もしなかった。
 部屋中に臭気に満ちた空気が淀んでいた。
 夜になっても女将さんは帰らなかった。貪欲に修二を求めた。
 明け方、五時過ぎになって帰り支度を始めた。
 気だるい雰囲気と匂う様な柔らかさが女将さんの全身を包んでいた。
 修二は、そんな女将さんの総てが自分の物でもあるかの様な錯覚に陥った。
 あれ程、憎悪を傾けた女将さんに離れがたい気持ちを覚えた。
 普段、空想の中で遊ぶ写真の中の女達とは違って、生身の女の肉体が修二を虜にしていた。
 女将さんは最後に修二の口を求めた。
 長く執拗な抱擁が続いた。
 女将さんの左手が修二の股間を探った。
「またね」
 そう言って修二を離して見詰める女将さんの眼差しが優しさと艶やかさに満ちていた。




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            takeziisan様

             
             今回もいろいろ楽しませて戴きました
            民謡の数々 懐かしい物ばかりです
             勝太郎 市丸 若い頃の歌声が聞けて懐かしさひとしおです
            鈴木正夫も久し振りです 相馬盆歌といえば鈴木正夫が浮かびます
            また 最上川舟歌 見事です 民謡歌手なんていう物じゃないですね
            感動的とも言える良い歌でした 世の中にはあらゆる分野に於いて
            このように知られざる名人 達人が居るものです
            世間一般の虚名などに惑わされない様にしたいものです
             川柳 画面では展開が速く ちょっと残念な気がします
            文字で補足して戴けたらと思いました
            いずれにしても川柳は庶民を読んだもの 実感が籠っていて楽しいものです
            楽しませて戴きました
             畑 相変わらず気になる小石 自分の方の土地では
            考えられない見た目です 
             頭を悩ませるイノシシにはイノシシの図太さと共に
            思わず笑いが出てしまいます 御苦労が偲ばれます
            それにしても野菜の数々 羨ましい限りです
            トウモロコシ 懐かしい映像です 
             様々な花々 それぞれ色彩の鮮やかさが眼に染み込んで来ます
            今の時期の特権でしょうか
             くちなしの花 作詞者の 水木かおる氏とは多少の面識があったものですから
            改めて懐かしく聴きました
             その水木氏も既に亡くなっています
            若き頃の憧れのスター 久我美子さんも亡くなりました
            日々 細りゆく我が人生 というところでしょうか
             日頃の歩行数 是非 頑張て下さい
            有難う御座いました
















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