田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『ふたりの桃源郷』佐々木聰監督に取材

2016-04-07 23:48:08 | BIG ISSUE ビッグイシュー



 本作は、電気も水道も通わない中国地方の山中で暮らす田中寅夫さんとフサコさん夫婦と、彼らを支える家族の姿を、25年にわたって追い続けたKRY山口放送の人気テレビドキュメンタリーシリーズを一本の映画としてまとめたもの。二人の姿を通して、生きがい、家族、老い、死などについて問い掛ける。映画版では吉岡秀隆がナレーションを担当。

 本作を見ながら、土や土地へのこだわりや執着という意味では『風と共に去りぬ』(39)を、山でしか生きられない者の矜持と哀しみという意味では『デルス・ウザーラ』(75)を思い出した。

詳細は後ほど。

『ふたりの桃源郷』のホームページは↓
http://kry.co.jp/movie/tougenkyou/media.html

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『トゥルーマン・ショー』(98)

2016-04-07 08:36:20 | All About おすすめ映画

生活の全てをテレビで生中継された男



 この映画の主人公は、生まれた時から生活の一部始終をテレビで生中継されているトゥルーマン(ジム・キャリー)。住んでいる町はセットで、両親も妻も隣人も皆俳優が演じています。見世物になっていることを彼だけが知らない…という奇抜なアイデアが秀逸な、ピーター・ウィアー監督のファンタジー・コメディです。

 この映画の真骨頂は、コメディでありながら、トゥルーマンの孤独はもとより、現実の世界も常に誰かに仕組まれているのでは、という怖さを感じさせるところ。

 また、エド・ハリス扮する番組のプロデューサーが、あたかも創造主=神のごとく描かれている点が、キリスト教社会のアメリカを象徴するようで興味深く映ります。

 このように、ファンタジーの形を借りて深いテーマを描くのは、アメリカ映画が最も得意とする手法の一つなのです。

 ラストでは、テレビのライブショーによって人生を操作されていたトゥルーマンが、その秘密を知って、自立していきます。この映画は、彼の半生を通して、人間はどう生きるべきなのかという問い掛けを発してくるのです。

 『マスク』(94)の顔面芸から脱皮して、無垢な主人公の心情を巧みに表現したキャリーの演技も見どころです。

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