田中雄二の「映画の王様」

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『モヒカン故郷に帰る』

2016-04-12 09:23:04 | 新作映画を見てみた

今回も“沖田ワールド”は健在なり カープの菊池も協力?



 瀬戸内の島を舞台にした沖田修一監督のオリジナル脚本作。東京でデスメタルバンドのボーカルをしている永吉(松田龍平)は、同居している恋人(前田敦子)が妊娠したため、7年ぶりに里帰り。ところが、父(柄本明)が末期がんに侵されていることを知り、しばらく島に残ることになる。

 沖田監督は『南極料理人』(09・南極観測隊)、『キツツキと雨』(12・へき地の村での映画撮影)、『滝を見に行く』(14・山中で迷子になったおばちゃんたち)と特殊な状況下でのコミカルな群像劇を描いてきた。今回も離島での群像劇として成立させているが、“おかしな家族もの”としてはデビュー作の『このすばらしきせかい』(06)の味わいに近い気もする。

 “沖田ワールド”とも呼ぶべき独特の間や緩いテンポは今回も健在。俺自身はその間が好きで、矢沢永吉や広島カープのネタも面白く見たが、こうしたテンポやネタは万人受けするものではないのが気になる。同じく瀬戸内の島がサブ舞台だった山田洋次の『東京家族』(13)的な題材を、若い監督が撮るとこういう感じになるのかなとも思わされた。

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