恐竜という“未知との遭遇”映画
この映画の主役は、遺伝子操作=バイオテクノロジーでよみがえらせた恐竜たち。よみがえった彼らを集めてテーマパークを作るが…というのが大筋です。こんなとんでもないことを考えたのは映画監督としても知られたマイケル・クライトン。これは夢の実現かそれとも自然界への冒涜か、と随分話題になりました。
その原作を基に、CG(コンピューター・グラフィックス)を使って映画の中に恐竜たちをよみがえらせたのは、SF映画を得意とするスティーブン・スピルバーグでした。首長竜ブラキオサウルスが初めて画面に現れた時の驚きを忘れることはできません。そして、ティラノザウルス、ヴェロキラプトルなど大小取り混ぜた個性的な恐竜たちを見せながら、観客にテーマパーク体験をさせていきます。
スリルの盛り上げ方は『激突!』(71)や『ジョーズ』(75)をほうふつとさせるもので、怖がらせ屋でいたずらっ子のようなスピルバーグの真骨頂とも言えるものです。また、この映画とシリアスな『シンドラーのリスト』(93)を並行して撮影していたというのですから驚きます。彼は本当に映画を撮ることが好きでたまらないのでしょう。そんなこの映画は、永遠の映画青年スピルバーグによる、恐竜という“未知との遭遇”映画なのです