田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『ダンス・ウィズ・ウルブズ』(90)

2016-04-29 08:00:48 | All About おすすめ映画

歴史は見方や立場によって異なるのだ



 南北戦争時の開拓地を舞台に、インディアンと共に生きた元北軍中尉ダンバーの目を通して、軍隊や開拓者の恥部を明らかにしていきます。

 チェロキー・インディアンの血を引くケビン・コスナーが監督・主演し、アメリカ西部開拓史上のタブーに挑みました。

 この映画は、インディアンの文化や思想の豊かさを描く一方、先住民族を虐殺し、バッファローを絶滅寸前に追いやった者として白人を描いていきます。

 それは例えば、軍隊に捕らわれの身となったダンバーをインディアンが救出に来る場面に象徴されます。

 この場面は、インディアンに襲われた人々を騎兵隊が救いに来るという従来の西部劇とは逆のパターンなのですが、この映画を通してインディアンに感情移入をした観客は、その姿に拍手を送ることになるのです。

 インディアンから見れば白人は侵略者以外の何者でもないということ。コスナーはこの映画を通じて、歴史は見方や立場によって異なるのだということを明らかにしました。

 アカデミー賞では、コスナーの作品、監督賞のほか、ジョン・バリーの作曲賞、ディーン・セムラーの撮影賞など大量受賞を果たしています。この結果を、ハリウッド映画人の良識とする向きもありました。

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