田中雄二の「映画の王様」

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『ボーダーライン』

2016-04-11 09:25:07 | 新作映画を見てみた

暗く重苦しいが、何故か後を引く



 メキシコの麻薬カルテルを壊滅させるべく、特殊部隊に入ったFBI捜査官のケイト(エミリー・ブラント)。特別捜査官(ジョシュ・ブローリン)や謎のコロンビア人(ベネチオ・デル・トロ)らと共に極秘ミッションに就くが…。

 メキシコの無法地帯で繰り広げられる攻防を背景に、善悪の境界(ボーダーライン)やグレーゾーンを描く。監督のドウニ・ヴィルヌーブは「“世界の警察”を自負するアメリカが、他国の問題に対処する際の、理想と現実の衝突と、アメリカは暴力をはらむ問題を、即座に効率的に解決するはずという幻想を描いた」語っている。

 『ゼロ・ダーク・サーティ』(12)のジェシカ・チャスティンにも似た役柄を体当たりで演じたブラント、原題であるメキシコ語のシカリオ(ヒットマン)を体現したデル・トロの怪演が目を引く。

 ロジャー・ディーキンスの暗闇での撮影、伊福部昭の『ゴジラ』(54)思わせるようなヨハン・ヨハンソンの不気味な音楽も印象に残る。暗く重苦しいが、何故か後を引く映画だ。

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