「レイが模索した答えが本作で明かされます」
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/interview/1208325
ホラーアンソロジストとしても知られる筆者による連作短編ミステリー。
都内・茗荷谷近くの某所、元は名画座だった喫茶店に集うのは、珈琲と映画、そして謎を愛する常連たち。彼らが不可思議な事件の真相を、映画への深い造詣を基に、論理的に解き明かしていく。
登場する映画は、『狼男』(41)『フランケンシュタインと狼男』(43)『モダン・タイムス』(36)『サイコ』(60)『宇宙戦争』(53)「ウルトラQ」(66)『ノスフェラトゥ』(22)『恐怖の足跡』(62)『回転』(61)『ロッキー』(76)『あの胸にもういちど』(68)「新・座頭市」(76)『事件記者 時限爆弾』(60)『スペシャリスト』(94)『コンスタンティン』(05)。
映画もミステリーも好きな自分としては、続編が読んでみたいと思ったが、これは、相当な映画好きならともかく、そうではない者にとっては、いささか趣味性が強過ぎて敷居が高いと思われる。また、専門家と称される常連者たちを、<特別捜査官>さんだの、<婦人記者>さんだのと、いちいち<>付きの肩書きで呼び合うところも少々鼻についた。
『クリフハンガー』(93)(1994.4.7.渋東シネタワー2)
ロッキー山脈に不時着した武装強盗団と山岳救助隊員のゲイブ(シルベスター・スタローン)との戦いを描く。
冒頭の宙吊り(クリフハンガー)シーンであっと驚かされたものの、タイトルのもう一つの意味である「手に汗握る連続活劇」という点では、残念ながら、それが全編にわたって…とはいかなかった。また、『ランボー』シリーズほどではないにしろ、スタローンのあまりのスーパーヒーローぶり(雪山なのにTシャツ一枚で大活躍!)に、疑問が残るのは否めない。
この映画のプロデューサーのマリオ・カサールによれば、最近のスタローンが、似合わないコメディで四苦八苦しているのを見かねての企画だったらしいが、スタローンの強引なヒーローはもう結構、と思うのは自分だけなのだろうか。思えば哀れな役者である。
そして、この映画の最大の注目は、『ダイ・ハード2』(90)に続く、レニー・ハーリンの監督作という点だった。そして、雪と飛行機を使ったアクションという『ダイ・ハード2』との共通項に、山という背景をプラスすることで、高所恐怖症を増幅させられる映画としては記憶に残る。
ただ、悪役のジョン・リスゴーは目立つが、肝心のスタローンと同僚(マイケル・ルーカー)との対立から和解というドラマ部分がおざなりだったので、山岳撮影とスタントマンたちのすごさだけが印象に残る映画になってしまった。
【今の一言】『メイクアップハリウッド』(カオリ・ナラ・ターナー)という本のゴーストライターをしたが、「スタローンは汗っかきなのに照明が当たるので、彼の映画の撮影現場はいつも冷房が効き過ぎてスタッフは凍えている」という件があったことを思い出した。だから雪山でもTシャツ1枚でOKというわけではないだろうが…。