田中雄二の「映画の王様」

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『ウォーターワールド』

2020-04-01 08:48:44 | 映画いろいろ

『ウォーターワールド』(95)(1995.8.26.渋東シネタワー)

 地球温暖化により全ての陸地が水没した未来の世界を舞台に、海賊たちと戦う一匹狼の戦士の活躍を描いたSFアクション。

 どうやらケビン・コスナーは『ダンス・ウィズ・ウルブズ』(90)で頂点を極めた後は、自らのキャラクターや演じるヒーロー像に対して勘違いをしているように見える。『ダンス・ウィズ・ウルブズ』以降で彼の個性が生かされたのは『ロビンフッド』(91)ぐらいで、後は贔屓目に見ても今一つの映画が続いている。

 そして、こちらも『ファンダンゴ』『シルバラード』(85)から注目し始め、『フィールド・オブ・ドリームス』(89)『ダンス・ウィズ・ウルブズ』と続いたもので、勝手に彼を“アメリカの良心”的なイメージで捉え過ぎたところがあるのだ。

 この映画の支離滅裂ぶりは、そうした互いの勘違いをさらに助長させる。一体、今後のコスナーはどこに向っていくのだろうと要らぬ心配をしたくもなる。

 またもや希望のない未来が描かれる。最初はハードボイルドを気取った主人公が、女子供にほだされていとも簡単に変心する。ハードなSF話かと思えば、途中からは漫画のように見えてしまう…。

 これが『ファンダンゴ』『ロビンフッド』と続いた、監督ケビン・レイノルズ、主演ケビン・コスナーという、“二人のケビン”の友情の終焉では寂し過ぎる、という少々センチメンタルな感慨と空しさを抱かされた。

【今の一言】この映画の撮影当時、コスナーの不倫スキャンダルが発覚し、映画自体も興行的に失敗した。以後、コスナーは仕事を干され、スランプに陥った。その後も、映画出演は続けているが、完全に立ち直ったとは言い切れない。

 そんなこの映画の設定は、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのアトラクションとして残っている。また、製作当時よりも地球温暖化が身近なものとなった今見直したら、また違った感慨が浮かぶかもしれない。

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