『ねらわれた学園』(81)(1981.7.3.東洋現像所)
超能力で悪と対決する少女の姿を描いた学園サスペンス。原作は眉村卓。
非常に漫画チックで、角川映画の楽屋落ちや、つまらないギャグも多く、真面目に考えれば「何じゃこれは?」となるのだが、実は結構楽しんだ。『金田一耕助の冒険』(79)では、ふざけ過ぎを感じさせた大林宣彦であったが、これが彼のやり方だと思えば、それはそれで、他の監督にはまねができない特技だとも言える。ちょっと変わった特撮を使って、奇想天外なストーリーを展開させるファンタスティックなSFに大林の存在価値を見付けた。
ユーミンの「守ってあげたい」に乗って薬師丸ひろ子のかわいらしさを再発見。手塚真が癖のある役を好演していた。それにしても、峰岸徹はよくこんな役を引き受けたものだ。
【今の一言】公開当時は、結構戸惑わされた覚えがあるのだが、現在では、角川映画のアイドル路線と、大林が“大林ワールド”と呼ばれる独自の映像スタイルを確立させた作品として評価されているらしい。確かに、この映画の延長線上で傑作『時をかける少女』(83)が作られたのだ。