(2005.1.20.)
以前、ブログで「大都映画とハヤフサヒデト」について書いたら、「にしすがも活動写真館」から大都映画撮影所跡地での『争闘阿修羅街』(38)の上映会のお知らせが届いた。こういう反響はうれしいもの。妻と一緒に参加させていただくつもり。
(2005.2.6.)
過日、ご案内を頂いた「にしすがも活動写真館」へ。途中、電車の中で俳優の熊倉一雄夫妻と遭遇。ひょっとしたらと思ったら、彼らも今日のお仲間だった。場所はかつての大都映画撮影所の跡地で、その後、学校になったものの廃校になり、現在は、にしすがも創造舎としてNPO団体の活動場所となっているらしい。思えば数奇な土地だ。
配られたパンフレットがなかなか盛りだくさんの内容で、とても良くできていて驚いた。こんなふうにきちんと作られてしまうと、オレたちは商売あがったりだな。それに子どもたちの素直な文章にふれると、自分はもうこんな文章は書けないなあとも思った。
さて、少々長い前振りの後、まず今回のプロジェクトをまとめた岩井成昭氏によるドキュメンタリー『ハヤフサ・ヒデトをさがして』を。何でも去年は奇しくもハヤフサの生誕100年だったという。別にオレは運命論者ではないが、この忘れられた大昔のアクションスターの節目の年に、ひょんな形でスポットライトが当たったことには、何か目に見えない力のようなものを感じなくもない。
また、余命いくばくもなかったハヤフサの弟子の池田督さんに運良く取材ができたことにも運命的なものを感じた。池田さんも最期にこんな企画とめぐり会えて本望だったのではないか。でも、こうして彼らの人生を垣間見ると、人の幸福や人生とは一体何なのだろうと、柄にもなく考えさせられたりもした。
で、いよいよ本日のメインイベント、ハヤフサヒデト(八代毅)監督、主演、1938(昭和13)年公開のサイレント映画『争闘阿修羅街』の上映。
ハヤフサがヒーロー的な新聞記者を演じた、この映画のストーリーは、ご都合主義以外の何物でもないが、確かにハヤフサのアクションはすさまじかった。これでもかとばかりに体技を披露する様は、バスター・キートンやジャッキー・チェンも真っ青だ。特にロープと滑車を使って、空中を移動するシーンは驚きに値する。
まあ、ハヤフサ本人は草葉の陰で「オレの代表作はこれじゃない。よりによって1本だけ残ったのがこれかよ…」と嘆いているかもしれないが。
コンビを組んだ大岡怪童や、早世したというヒロイン大河百々代とのトリオもなかなかいい味を出していたが、特筆すべきは大山デブ子の圧倒的な存在感。弁士の斎藤裕子女史もさわやかでなかなか良かった。いずれにせよ貴重なものを見せていただきました。感謝。