田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

ハヤフサヒデト『争闘阿修羅街』上映会

2020-04-15 12:06:48 | 雄二旅日記

(2005.1.20.)
 以前、ブログで「大都映画とハヤフサヒデト」について書いたら、「にしすがも活動写真館」から大都映画撮影所跡地での『争闘阿修羅街』(38)の上映会のお知らせが届いた。こういう反響はうれしいもの。妻と一緒に参加させていただくつもり。 

 

(2005.2.6.)
 過日、ご案内を頂いた「にしすがも活動写真館」へ。途中、電車の中で俳優の熊倉一雄夫妻と遭遇。ひょっとしたらと思ったら、彼らも今日のお仲間だった。場所はかつての大都映画撮影所の跡地で、その後、学校になったものの廃校になり、現在は、にしすがも創造舎としてNPO団体の活動場所となっているらしい。思えば数奇な土地だ。

 配られたパンフレットがなかなか盛りだくさんの内容で、とても良くできていて驚いた。こんなふうにきちんと作られてしまうと、オレたちは商売あがったりだな。それに子どもたちの素直な文章にふれると、自分はもうこんな文章は書けないなあとも思った。

 さて、少々長い前振りの後、まず今回のプロジェクトをまとめた岩井成昭氏によるドキュメンタリー『ハヤフサ・ヒデトをさがして』を。何でも去年は奇しくもハヤフサの生誕100年だったという。別にオレは運命論者ではないが、この忘れられた大昔のアクションスターの節目の年に、ひょんな形でスポットライトが当たったことには、何か目に見えない力のようなものを感じなくもない。

 また、余命いくばくもなかったハヤフサの弟子の池田督さんに運良く取材ができたことにも運命的なものを感じた。池田さんも最期にこんな企画とめぐり会えて本望だったのではないか。でも、こうして彼らの人生を垣間見ると、人の幸福や人生とは一体何なのだろうと、柄にもなく考えさせられたりもした。

 で、いよいよ本日のメインイベント、ハヤフサヒデト(八代毅)監督、主演、1938(昭和13)年公開のサイレント映画『争闘阿修羅街』の上映。

 ハヤフサがヒーロー的な新聞記者を演じた、この映画のストーリーは、ご都合主義以外の何物でもないが、確かにハヤフサのアクションはすさまじかった。これでもかとばかりに体技を披露する様は、バスター・キートンやジャッキー・チェンも真っ青だ。特にロープと滑車を使って、空中を移動するシーンは驚きに値する。

 まあ、ハヤフサ本人は草葉の陰で「オレの代表作はこれじゃない。よりによって1本だけ残ったのがこれかよ…」と嘆いているかもしれないが。

 コンビを組んだ大岡怪童や、早世したというヒロイン大河百々代とのトリオもなかなかいい味を出していたが、特筆すべきは大山デブ子の圧倒的な存在感。弁士の斎藤裕子女史もさわやかでなかなか良かった。いずれにせよ貴重なものを見せていただきました。感謝。

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『昭和映画史ノート 娯楽映画と戦争の影』(内藤誠)ハヤフサヒデトのこと

2020-04-15 11:30:22 | ブックレビュー

 『昭和映画史ノート 娯楽映画と戦争の影』(内藤誠)を再読。思えば、この本に書かれていた、無声映画時代のアクションスター、ハヤフサヒデトについての一連の出来事はちょっとした奇跡のようだった。

(2004.12.10.)
 ここのところ、毎日新聞に続けて興味深い記事が載っていた。まずは新刊本の紹介で流浪の映画カメラマン西本正の評伝『香港への道』について。西本といえばブルース・リーの『ドラゴンへの道』(72)の撮影者でもある。昔、見た時は何で日本人が?…と不思議に思ったものだが、その秘密がこの本を読むと分かるのかな。

 次は、無声映画時代のアクション・スター・ハヤフサヒデトと、巣鴨にあった幻の大都映画について今の子供たちが調べたという記事。ハヤフサは、別名“昭和の鳥人”と呼ばれた男。“大正の鳥人”呼ばれた高木新平とセットで興味あり。西本、ハヤフサ共に、戦前の満映こと満州映画に深く関係していたという偶然もまた興味深い。

(2004.12.14.)
 幻のアクション・スター“昭和の鳥人”ハヤフサ・ヒデトのことをもっと知りたくなって、「幻の大都映画とハヤフサヒデト伝説」が収録されている、内藤誠の『昭和映画史ノート 娯楽映画と戦争の影』(平凡社新書刊)を読了。ほかにも「戦時下に創設された「日本映画学校」」「占領下の溝口健二の映画」「プロデューサー・水の江滝子と石原裕次郎」など興味深い話が網羅され、一気に読まされてしまった。それにしてもハヤフサの映画をぜひ見てみたいものだと思った。

 ハヤフサヒデトのことを調べていたら、“幻の映画たち”について書かれたSF小説、筒井康隆の短編「CINEMAレベル9」(『夜のコント冬のコント』新潮文庫刊に収録)のことを知り、ブックオフへ。舞台は神戸の地下9階にあるという“幻の映画”だけを上映する映画館。筒井自身の分身と思われる映画狂の主人公と、往年のスターのものまねをする映画館の支配人のやりとりが面白い一編。ここならハヤフサの映画も見られることだろう。まさに映画狂=偏執狂の夢が生んだ好短編だった。

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『街の灯』

2020-04-15 08:03:48 | 映画いろいろ

『街の灯』(31)(1974.1.26.荏原オデヲン座 併映『最後の猿の惑星』『ポセイドン・アドベンチャー』)

 編集・解説を担当した『淀川長治の証言 チャップリンのすべて』から。淀川先生が、目の前で、珠玉のラストシーンについて熱く語ってくださったことは忘れられない。

https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/c1b90f2a7d3da72c38d9332f11b50328

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