田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『リーサル・ウェポン4』

2020-04-21 15:28:38 | 映画いろいろ

『リーサル・ウェポン4』(98)(2012.7.28.ムービープラス)
エンドロールの“アルバム”はずるいよ


 このシリーズ、最初の『リーサル・ウェポン』(87)は、メル・ギブソン演じる自殺癖のあるリッグスの再生と、ダニー・グローバー演じるマータフとのコンビの誕生を描き、『2』(89)では、うるさい小悪党のジョー・ペシのレオを加えてトリオとし、さらに『3』(92)ではレネ・ルッソの女性刑事ローナを登場させてカルテットとした。
 
 また、この間、第一の見どころとなるド派手なアクションのかたわらで、マータフ一家や警察内部の人間模様もこつこつと描いてきた。つまり、レギュラーを増やして人物描写に変化や広がりを持たせたところと、連続性を持った家族や仲間たちの描写にシリーズとしての魅力があったのだ。その点は、シリーズ全作を一貫して監督したリチャード・ドナーの功績大である。
 
 そして、『3』以来、6年ぶりに作られ、最終作となったこの『4』では、敵をチャイニーズマフィアの“ファミリー”とし、ラストでリッグスとローナには子供を、マータフには孫を授け、ひたすら邪魔者扱いされてきたレオにも花を持たせるなど、家族や仲間というテーマをより前面に押し出していた。
 
 さらに、ラストのレギュラー出演者たちの記念写真に続くエンドロールで「Why Can't We Be Friends?=仲間よ目をさませ!」(ウォー)に乗せて、キャストやスタッフの写真をアルバム風に延々と映して追い打ちを掛ける。それを夜中に一人で見ていたら、不意に泣けてきた。(ちなみに『2』のラストではジョージ・ハリスン&トム・ペティの名曲「チア・ダウン」が流れた)
 
 みんな、写真では楽しそうにニコニコと笑っているけど、このうちの何人かはすでに亡くなったかもしれない、けんか別れした仲間もいるだろうなあ、今のメル・ギブソンの落ちぶれた姿を思うと…などといろいろと感じて、何だか妙に切なくなってきてしまったのだ。
 
 こうした感慨が浮かぶのは、自分が年を取ったせいもあるが、去年の東日本大震災で、写真が持つ一種の残酷性を知らされたことも大きいのかもしれないなあ。

『Lethal Weapon 2』 End Credits
https://www.youtube.com/watch?v=ilu7Brquyy8

『Lethal Weapon 4』 End Credits
https://www.youtube.com/watch?v=d51eEoP4Z8I

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『スケアクロウ』

2020-04-21 08:01:43 | 映画いろいろ

『スケアクロウ』(73)(1975.4.24.目黒公会堂)

 この映画は、ファーストシーンの1本のマッチでたばこに火をつける2人の姿と、ライオン(アル・パチーノ)の治療費を取りにいくためのピッツバーグ行きのチケットを買うため、ブーツのかかとから、なけなしの金を出すマックス(ジーン・ハックマン)を捉えたラストシーンが好きだ。


 

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『レッドブル』

2020-04-21 07:24:47 | 映画いろいろ

『レッドブル』(88)(1991.4.14.日曜洋画劇場)


 
 ロシア警察のダンコー(アーノルド・シュワルツェネッガー)と、シカゴ警察のリジック(ジェームズ・ベルーシ)が、アメリカから麻薬を密輸するロシアマフィアのボスを捕らえるため、反発し合いながら捜査を進めていく様子を描く。

 ゴルバチョフ来日記念放送、というわけでもなかろうが、またしても、アメリカが一方的に描いたソ連像を見せられた気がする。アクション俳優としてのシュワルツェネッガーの存在感の大きさが、この映画をそれなりに面白くはしているが、所詮、ハリウッドの俳優がロシア人を演じるのには無理があるのだ。

 そして、ベルーシとの相棒映画としてもいま一つな感じがした。例えば『フレンチ・コネクション2』(75)の面白さは、アメリカ人のジーン・ハックマンとフランス人のベルナール・フレッソンの対照的な姿にあったのだし、『ブラックレイン』(89)も、健さんとマイケル・ダグラスの対比が面白かったのである。この映画はその点が弱い。

 ウォルター・ヒルという監督は、サム・ペキンパーやロバート・アルドリッチのような、男同士のぶつかり合いや友情を描こうとしているのに、それをきちんと描けたのは『ストリート・ファイター』(75)ぐらいで、その他には中途半端なものを感じさせられる。女性が強い今の時代が、そうした硬派な男の映画を撮りづらくさせているのだろうか。

 アメリカ側の刑事の一人に、『ゴッドファーザー』シリーズでアル・ネリを演じたリチャード・ブライトの姿があった。渋い味が出せるいい脇役なので、もっと活躍してほしい。アメリカ映画でゴルバチョフを演じられそうな俳優は、その髪形や風貌から、ピーター・ボイルが案外適役だと思う。

【今の一言】「ゴルバチョフ来日記念放送」という一言に時代を感じる。期待していたリチャード・ブライトは2006年に交通事故で亡くなったらしい。嗚呼。

コメント (2)
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