田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『サボテン・ブラザース』

2020-10-11 08:25:58 | 映画いろいろ

『サボテン・ブラザース』(86)(2010.8.19.)

 西部劇のヒーロー「スリーアミーゴス(サボテン・ブラザース)」役の俳優3人組が、映画の撮影だと勘違いして、野盗集団に襲われているメキシコの小さな村を訪れるが…。

 サタデー・ナイト・ライブ出身のスティーブ・マーティン、チェビー・チェイス、マーティン・ショートが、サイレント映画の“3馬鹿大将”を演じるコメディ西部劇。

 『荒野の七人』(60)(音楽はエルマー・バーンスタイン!)、『ローンレンジャー』など、西部劇のパロディー満載だが、サタデー・ナイト・ライブ出身者とジョン・ランディスが作ったコメディーは、アイデアの良さは認めるが、しつこいギャグ、スラングの連発、妙なテンポなどで、残念ながら日本人には理解不可能なところが多い。

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『さらばヤンキース』『巨人の星』

2020-10-11 00:10:55 | ブックレビュー

 元ニューヨーク・ヤンキースの往年の名投手ホワイティ・フォードが亡くなった。残念ながら、その現役時代は、知る由もなく、アーカイブ映像や本でしか見聞きていない。そのフォードも登場する『さらばヤンキース』というノンフィクションの傑作を25年ほど前に読んだことを思い出した。

『さらばヤンキース』(1995.3.)

 1964年の“保守”ニューヨーク・ヤンキース対“リベラル”セントルス・カージナルスとの間で行われたワールドシリーズを柱に、両チームの選手やフロントの動静を、当人たちへのインタビューを交えながら克明に再現し、メジャーリーグ(否、アメリカそのものと言うべきか)の転換期を見事に浮き彫りにしていくノンフィクション。

 筆者のデビッド・ハルバースタムが、スポーツライターではなく、社会派のジャーナリストであるため、カージナルスのボブ・ギブソンやルー・ブロック、カート・フラッドといった黒人選手たちの自己主張の姿と、公民権運動に代表されるアメリカ社会の変化が鮮やかにオーバーラップする。ベースボールが、アメリカ社会の鏡となることを改めて知らされた思いがした。

 また、この時期のヤンキースを9連覇後半の巨人に、晩年のミッキー・マントルを長嶋茂雄に、カージナルスを、巨人凋落後の広島や西武に置き換えてみても、さほど違和感を抱かせないことも興味深かった。

【今の一言】今年は奇しくも、フォードの他に、『さらばヤンキース』にも登場した、盗塁王ルー・ブロック、オマハ超特急と呼ばれた大投手ボブ・ギブソンも亡くなっている。

 ところで、カージナルスと言えば、68年の日米野球を思い出す。もちろんブロックも、ギブソンもその時のメンバーだったが、『巨人の星』で主人公・星飛雄馬のライバルとなる“野球ロボット”ことアームストロング・オズマが所属していたことでも印象深いのだ。

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