『刑事マディガン』(68)
ニューヨーク市警のマディガン(リチャード・ウィドマーク)とボナーロ(ハリー・ガーディノ)のコンビは、ブルックリン地区のギャングを追っていたが、逃げられた挙句、マディガンは拳銃を奪われてしまう。2人は上司(ヘンリー・フォンダ)から72時間以内に拳銃を取り戻すように命じられるが、やがて、マディガンの拳銃を使った殺人事件が発生する。
ドン・シーゲル監督が描く刑事ドラマだが、マディガンは妻(インガー・スティーブンス)からやいのやいのと責め立てられ、上司は愛人問題で悩み、警部(ジェームズ・ホイットモア)は汚職が発覚し…と、刑事たちに生活臭があり過ぎて冴えないこと甚だしい。昔、テレビで見た時は、悲しいラストも含めて、何ともいえないやるせなさを感じた覚えがある。
これはシーゲルというよりも、赤狩りで苦労した脚本のエイブラハム・ポロンスキーの趣向なのかもしれない。それで、シーゲルはクリント・イーストウッド主演のハードな刑事ドラマ『ダーティハリー』(71)を作って溜飲を下げたのか? この映画でマディガンの相棒を演じたガーディノは『ダーティハリー』ではハリー・キャラハンの上司役を演じていた。