『慕情』(55)(1981.11.12.)
朝鮮戦争時の香港を舞台に、英国と中国の血を引く女医(ジェニファー・ジョーンズ)と新聞記者(ウィリアム・ホールデン)の悲恋を描く。
前に見たのは中学生の頃だったから、当然、愛の深さについてなど分かるはずもない。だから、当時の自分の目には、ただの、涙、涙のメロドラマの一つとしか映らなかったのだが、今回は、自分も多少は成長したし、ホールデンの死に際して見たという感慨もあり、なかなかの映画であると感じた。
朝鮮戦争、混血児、移民といった問題が描き込まれ、その中で、いかにもヤンキー気質にあふれたホールデンと、エキゾチックな成熟した女の魅力を発散するジョーンズの悲恋が語られる。ラストは、ちょっと『風と共に去りぬ』(39)風だし、蝶を使ったシーンは『西部戦線異状なし』(30)をほうふつとさせる。
また、サミー・フェイン作曲のテーマ曲も、いかにもメロドラマとマッチした名曲だと改めて感じた。何しろこの曲が流れると、映画が非常に盛り上がる。映像と音楽の相関関係の大切さを思い知らされた。
【今の一言】この映画は香港ロケが大きな効果を発揮しているが、これは、1950年代半ばに流行した「ランナウェイ方式」と呼ばれる、外国の収益金を求めて、外国で製作されたハリウッド映画の中の一本に属する。
ウィリアム・ホールデンのプロフィール↓
ジェニファー・ジョーンズのプロフィール↓
パンフレット(55・外国映画社)の主な内容
解説/梗概/監督ヘンリー・キング/この映画の製作者バディ・アドラー/主題歌「恋はうつくしきもの」/スタア・メモ ウィリアム・ホールデン、ジェニファー・ジョーンズ