田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』

2021-11-17 10:16:46 | 新作映画を見てみた

『ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』(2021.11.16.オンライン試写)

 「デュポンの工場からの廃棄物で土地が汚染され、190頭もの牛が病死した」。農場主のウィルバー・テナント(ビル・キャンプ)の悲痛な訴えから始まった、米ウエストバージニア州のコミュニティを蝕む環境汚染問題。弁護士のロブ・ビロット(マーク・ラファロ)が10数年にわたってデュポンを相手に繰り広げた闘いの軌跡を描く。

 これは、工場から流出した化学物質ペルフルオロオクタン酸(PFOA)が混じった飲料水が原因で、住民ががんなどの健康被害を受けたとするもの。PFOAはフライパンの加工などに使われるフッ素樹脂「テフロン」の製造過程で使われる。

 ラファロが製作も兼任し、トッド・ヘインズを監督に指名したという。キャンプのほか、妻役のアン・ハサウェイ、上司役のティム・ロビンス、地域弁護士役のビル・プルマンらも、それぞれ好演を見せる。

 先に公開されたジョニー・デップ主演の『MINAMATA』で描かれた水俣の住民とチッソとの関係、あるいは原発と地域住民など、企業から実害を受けながら、半面、その企業の恩恵にあずかって生活しているから泣き寝入りをせざるを得ないという理不尽な例は後を絶たない。実在の人物であるこの映画の主人公ビロットは、そうした矛盾に敢然と立ち向かったわけだ。

 アメリカ映画が得意とするものの一つに、アメリカという国や社会が犯した悪事について自浄作用を発揮しながら、人々に知らしめるというパターンがある。これまでも映画の力を利用して、さまざまな事象が告発されてきた。

 その上、この映画は、昔話ではなく、ごく最近の出来事を克明に描いているのだから恐れ入る。しかも、ちゃんと娯楽映画として成立させているのだ。

 自分がアメリカ映画が好きな理由の一つは、多分こうした部分に寄るところが大きいのだろうと改めて感じた。実際のところ、自分はこの事件に関しては全くの無知だったのだから。

 名場面は、デュポンから送られた膨大な証拠書類をビロットが整理し、核心に迫っていく様子。ウエストバージニアの自然の素晴らしさが歌われるジョン・デンバーの「カントリー・ロード」が流れる皮肉も効いている。

 そういえば、ラファロは『フォックスキャッチャー』(14)ではデュポン財閥の御曹司(スティーブ・カレル)に雇われ、殺害されるレスリングのコーチを演じていた。

『はじまりのうた』『フォックスキャッチャー』のマーク・ラファロに注目
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/6439df5787ea864480bcd12517d871db

 

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『ヴェノム レット・ゼア・ビー・カーネイジ』

2021-11-17 07:30:11 | 新作映画を見てみた

『ヴェノム レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(2021.10.22.ソニー・ピクチャーズ試写室)

 マーベルコミックのダークヒーロー、ヴェノムの活躍を描いた続編。今回は、圧倒的な戦闘力と残虐性を持ち、ヴェノムの大敵となるカーネイジとの戦いを描く。タイトルの意味は「大虐殺よ起これ」。

 「悪人以外を食べない」という条件でエディ(トム・ハーディ)の体に寄生した地球外生命体シンビオートのヴェノムは、食欲制限を強いられ不満を抱えながらも、エディとの共同生活をそれなりに楽しんでいた。

 そんな中、ジャーナリストとして未解決事件の真相を追うエディは、刑務所で死刑囚のクレタス・キャサディ(ウディ・ハレルソン)と再会する。突如エディの腕に噛みついたクレタスは、その血液が人間とは異なることに気付く。そして死刑執行の時、クレタスはついにカーネイジへと覚醒する。

 エディとヴェノムを、一つの体を共有する一心同体のバディ=相棒として強調して描く。これは、ある意味、エディとヴェノムのラブストーリーだ。前作よりもユーモラスな面も強調されている。

 監督のアンディ・サーキスは、モーションキャプチャでさまざまな役を演じてきた人なので、同じ体で別のものになるという、エディとヴェノムの関係を描くには打ってつけだったのではないかと感じた。

『ヴェノム』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/6aa5e76a28da62079f283455468056d5

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「BSシネマ」『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3』

2021-11-17 07:16:26 | ブラウン管の映画館

『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3』(90)

これはあっぱれな詐欺だった
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/0b639abc6055ff7b3428aaf0cfc7f1b8

 『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3』を再見
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/f896271ff494e62cb8d0ee1ac18da457

『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3』とコメディ西部劇
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/8e52d896ba911d132c7892170f3ef2c9

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が愛され続ける理由とは?
https://screenonline.jp/_ct/17345757

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