田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

WOWOWプラス『サンダーボルト』

2022-08-22 23:47:29 | ブラウン管の映画館

『サンダーボルト』(74)(1978.9.25.月曜ロードショー)

 監督・脚本は『ダーティ・ハリー2』(73)の脚本でイーストウッドに認められたマイケル・チミノ。テーマ曲はポール・ウィリアムズの「Where Do I Go from Here」。

 一度襲った銀行を再び襲う男たち。その準備のためにアルバイトをする姿がおかしい。そして死に方も、もの悲しくもどこかおかしい。で、重要な大道具は小学校の黒板とくる。

その4人組は
クリント・イーストウッド…サンダーボルト(バイトは工場)
ジェフ・ブリッジス…ライトフット(バイトは工務店。レッドに暴行された傷がもとで死ぬ)
ジョージ・ケネディ…レッド(バイトは清掃。ドーベルマンにかみ殺される)
ジェフリー・ルイス…エディ(バイトはアイスクリーム売り。警察に撃たれ、レッドに車から放り出される)

そして“70年代脇役天国”の人々
ゲーリー・ビジー…カーリー
バートン・ギリアム…ウェルダー
ロイ・ジョンソン…ダンロップ
ビル・マッキニー…クレイジー・ドライバー
ダブ・テイラー…ガソリンスタンド店員
クラウディア・レナ―…工場事務員

『サンダーボルト』のラストシーン
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/11409bc902681f96d0608c46108f9d3e

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「BSシネマ」『愛と哀しみの果て』

2022-08-22 06:19:48 | ブラウン管の映画館

『愛と哀しみの果て』(85)(1986.6.30.日劇プラザ)

 

 20世紀初頭、デンマーク人のカレン(メリル・ストリープ)は、スウェーデン人の貴族(クラウス・マリア・ブランダウアー)と結婚し、夫が経営するコーヒー農園のあるケニアにやってくる。不実な夫に代わって事業に懸命に取り組むカレンは、教養ある冒険家で、自由に生きるイギリス人・デニス(ロバート・レッドフォード)と出会い、引かれ合うが…。

 2時間41分の大作である。シドニー・ポラックがこうした大河ドラマ風叙事詩を撮るとはいささか驚いた。どちらかといえば、彼は『追憶』(73)『コンドル』(75)『トッツィー』(82)などの都会的な佳作の監督という印象が強かったのだが、それを改めなければならないか。

 だが、この映画が、スピルバークの『カラー・パープル』(85)を凌駕してアカデミー賞を総なめにするほどの名画かと言えば、そこには少々疑問が残る。

 確かに、もはや毎度おなじみのストリープの過剰演技(さすがにデンマークなまりの英語の発音まではわからなかったが)、年を取っても二枚目ができるレッドフォードのはまり役、マリア・ブランダウアーの憎み切れない敵役という演技合戦に加えて、アフリカの景観を見事に映したカメラワークも素晴らしい。

 それなのに、何かしっくりこない。その理由は女性中心の視点で描かれたことと、ストリープ演じるカレンの描き方があまり好きになれなかった点にある。

 彼女には、T・E・ロレンス=アラビアのロレンス的なものが感じられる。つまり、異邦人としてある土地にやって来て、そこに惚れ込むまではいいが、自分のエゴを、その土地の住民たちにぶつけて、自己満足しているところがある。そして、結局は受け入れられずに去っていくというパターンだ。もちろん、この映画にデビッド・リーンの『アラビアのロレンス』(62)のような厳しさはない。

 この映画では、そんなカレンに、自然児デニスが本当の生き方みたいなものを教えるわけだが、この男の行動も、不自然だったり、曖昧なところもあるので、見る方は困ってしまう。

 この映画の柱は、2人の恋愛劇なのだから…と言ってしまえばそれまでだが、せっかくアフリカの景観をあそこまで描けたのだから、人間ドラマにもう一歩深みがあればさらによくなったはずなのに…と思うと残念でならない。ポラックにはかわいそうだが、この映画を見ながら、リーンの大河ドラマ作りのうまさを思い出してしまった。

アカデミー賞を受賞した時のポラックのコメントが面白い。

 

 

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