田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『ドリーム・ホース』

2023-01-06 21:58:37 | 新作映画を見てみた

『ドリーム・ホース』(2023.1.5.オンライン試写)

 ウェールズの谷あいにある小さな村で、無気力な夫(オーウェン・ティール)と暮らすジャン(トニ・コレット)は、スーパーでのパートの仕事と親の介護という、単調な毎日に飽き飽きしていた。

 ある日ジャンは、馬主経験のあるハワード(ダミアン・ルイス)の話に触発されて競走馬を育てることを思いつき、村民に共同で馬主となることを呼び掛ける。

 週10ポンドずつ出し合って組合馬主となった彼らの夢と希望を乗せ、「ドリームアライアンス(夢の同盟)」と名付けられた馬は、奇跡的にレースを勝ち進み、彼らの人生も変えていくが…。

 実話を基に映画化した、うそのような本当の話。『ブラス!』(96)のブラスバンドや、『フルモンティ』(97)の男性ストリップのように、「片田舎の普通の人々が何事かを成し遂げる」という、イギリス映画お得意のパターンが、ここでは競走馬を媒介にして描かれる。

 個性的な村民たちの点描も面白いが、馬やターフコースが美しく映えるレースの様子が圧巻。実際の“ご本人”も登場する、エンドクレジットのカーテンコールも楽しい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

加山雄三の映画『俺の空だぜ!若大将』

2023-01-06 16:44:08 | 映画いろいろ

『俺の空だぜ!若大将』(2011.5.21.日本映画専門チャンネル)

 若大将シリーズは結構見ているのだが、これは未見だった。今回のスポーツは、タイトル通りのスカイダイビング。

 ただ、主人公の若大将こと田沼雄一がサラリーマンになったのもさることながら、演じる加山雄三をはじめとするレギュラー陣がやけに老けて疲れて見えるし、演出も雑な感じがする。

 60年代後半と70年代前半に作られた映画とでは、たかが数年しか違わないのに、全く雰囲気が異なる。これは斜陽に向かった当時の映画界の空気が如実に反映されていたということなのか。やはり、明るく能天気な若大将シリーズは60年代の映画なのだ。

 ところで、2代目の若大将は草刈正雄だとばかり思っていたら、ここに大矢茂という2代目がいた。当時は期待の新人だったのだろうか。その影の薄さは、007シリーズの2代目ジェームズ・ボンド役のジョージ・レイゼンビーをほうふつとさせる。おばあちゃん役の飯田蝶子はこれが最後の出演となったという。

 加山は波瀾万丈の人生を歩みながらいまだに現役を続けている。で、NHK BSの『武田鉄矢のショータイム』のこの日のゲストだった小林旭もまた、すさまじい人生を送ってきた人だ。映画スター小林旭の輝きはリアルタイムでは知らないが、この番組でスターとしての矜持や存在感の大きさをあらためて知らされた。

 そして、とても72歳とは思えぬ、あの独特の張りのある高音の歌声、いわゆる“アキラ節”で、「ギターを持った渡り鳥」から「自動車ショー歌」「さすらい」「北帰行」「昔の名前で出ています」「熱き心に」まで、雑多な種類の名曲を披露する姿には圧倒された。特に「北帰行」は、一緒に出ていた浅丘ルリ子じゃなくても、聴いていると泣けてくるぜ。

 この後、日本映画専門チャンネルに戻ったら、武田鉄矢主演の『刑事物語3 潮騒の詩』(84)をやっていた。ジャッキー・チェンを意識したカンフーアクションなどに努力の跡はうかがえるが、これが先の加山や旭なら、何をやっても努力の跡を感じさせないだろう。

 鉄矢には気の毒だが、そこが彼らの大スターたるゆえんなのだ。この映画、製作はキネマ旬報社だが、沢口靖子のデビュー作、共演は若大将シリーズの澄ちゃんこと星由里子と夏木陽介と来れば、これは実質的には東宝映画じゃないか。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【ほぼ週刊映画コラム】『カンフースタントマン 龍虎武師』『ファミリア』

2023-01-06 07:01:28 | ほぼ週刊映画コラム

共同通信エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

今週は
香港映画の光と影が浮かび上がる『カンフースタントマン 龍虎武師』
“家族”を追い求める人々の姿を描く『ファミリア』

詳細はこちら↓
https://tvfan.kyodo.co.jp/?p=1366465&preview=true

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「BSシネマ」『ジェシー・ジェームズの暗殺』

2023-01-06 06:14:33 | ブラウン管の映画館

『ジェシー・ジェームズの暗殺』(07)

 ブラッド・ピットが製作も手掛け、実在のアウトロー、ジェシー・ジェームズ暗殺の真相に迫る重厚なウエスタン。ジェシーに憧れを抱くフォードを演じたケイシー・アフレックはアカデミー賞にノミネートされた。名撮影監督ロジャー・ディーキンズの深い陰影の映像美も見どころだ。


『アメリカン・アウトロー』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/ec60f4314d8fa44b3b0ad50bcde88edc

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする